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乳酸をコントロールするLTトレーニングの方法

血液中の乳酸濃度を基準とした生理学的尺度には、LT(乳酸菌作業閾値)とOBLA(血中乳酸値が4mmolの強度)が代表的なものとして用いられています。その理由は、長距離・マラソンの記録とそれらの尺度との関係が非常に密接であるからです。

LTとは、筋肉中の乳酸の除去スピードが生成速度についていけなくなる状況の強度のことを意味し、 この速度を上回ると血中乳酸値は急激に増加します。

OBLAは、乳酸の急上昇の過程にある4mmolという値で、LTが見つけにくい場合に、研究者が固定血中乳酸値として用いています。LTの強度に比べてハードであり、その速度での持続時間は個人差もありますが、20~60分程度しか持続できません。

OBLAペースのトレーニングは、主に鍛練されたランナーが実施するものです。ここではLTトレーニングについて考えてみましょう。


LTトレーニングの目的
ハーフマラソンやフルマラソンを走る場合、スタート後、数km走るとペースは落ちついてきます。その時のペースは、各ランナーの血中乳酸の蓄積が始まるか否かのスピードであると言えます。

LTトレーニングのねらいは、 このLTスピードをより速いスピードにシフトさせることにあります。

トレーニングをすると、筋肉の乳酸除去能力の改善、 ミトコンドリア数の増加、 ミトコンドリア内の酵素活性の増大などにより、運動中の乳酸生成が減少して乳酸カーブの変化が生じます。

その結果、新しいLTスピードの獲得をもたらし、ハーフマラソンやフルマラソンの記録改善に結びつくことになります。


LTスピードの求め方
LTトレーニングの強度は、LTスピードかそれを少し上回る速度が効果的です。その速度を見つけるには、次の3つの方法が考えられます。

血液を採取して血中乳酸値を求める
トレッドミルを用いて1つの速度で3~ 5分間走行した後、指先から血液をわずかに採取し、乳酸分析器によって血中乳酸値を求めます。

これを5~6段階の速度で実施します。血液採取に約1分の休憩が入るので、 トータルで約30分の時間を必要とします。この方法は、最も正確にLTスピードを求めることができます。

ただしこの方法によるLTスピードの測定は、体育系大学やスポーツ科学研究所などに依頼しないと難しく、誰でも容易に行える方法ではありません。

5km、10km、ハーフマラソンの記録から算出する
①5kmのベスト記録からLTスピードを求めるには、 1km当たりの平均タイムに16~ 20秒を加えます。また、10kmの場合は、1km当たりのレースペース+6~10秒、ハーフはレースペース(分/km)そのものとなります。したがって、 3種目のいずれかの記録がわかると、容易にLTスピードが得られます。

②各自の競技記録をもとにして、LTスピードを求める方法は他にもあります。
例えば、10kmを50分で走る人のLTスピードは1km、約5分4秒のスピードになります。1kmをこのタイムで走れば、LTペースとなります。

これら①、②の方法は、多少の誤差が生じるものの、長距離の記録のみでLTスピードが求められるので非常に便利です。

心拍数を基準にして求める
心拍数計を着けてトレーニングするランナーにとって都合がよい方法です。以下の2つの式から求められる心拍数が、LTスピードの生じる強度になります。

① (最大心拍数―安静時心拍数)× 0.75~ 0.9+安静時心拍数
② 最大心拍数×0.8~ 0.92

このように、LTスピードを求めるには3つの方法があります。市民ランナーには5kmや10kmのタイムから求める方法が容易です。


LTトレーニングの具体例
次に、LTトレーニングの具体的方法を説明しましょう。

LT持続走
LTペースで20~ 40分持続して走るトレーニングです。十分なウォーミングアップをしてから実施します。トラックやロードなど、距離が良く分かっている場所でペース感覚を意識して走ります。

40分の持続型は少しきついので、15分×2回、20分×2回に替えても良いでしょう。

LTインターバル:強度はLTスピード
①1600m× 4~ 5回(1~ 2分の休息ジョギングでつなぐ)
②2000m× 3~ 4回(1~ 3分 ″ )
③3000m× 2~ 3回(2~ 4分 ″ )

LT持続走の長さに飽きるランナーは、 このインターバル方式を用いても十分な効果が得られます。しかし、LT持続走に比べ、 レースに必要な心理的つらさに耐える能力の改善はあまり望めないでしよう。

LTサーキット
用いる走行距離を1、200m以下にして、LTスピードより少し速く走ります。ランニングに必要な筋肉を局所的に鍛え、その部位に疲労が残っている間に次のランニングに移行していきます。

1、000mの前に200m程度のジョギングを入れる方が、取り組みやすいでしょう。試行回数が増えるにつれてジョギングの距離を少なくしていきます。補強運動の回数や速度は体カレベルに合わせてください。

LTヒル
トレーニングコースにいろいろな長さの坂がある場合、それを利用する方法があります。100~ 800mくらいの坂道にきた時は、坂の傾斜にもよりますが、LTペースで走るように努力してみましょう。

ループ型のコースでこのトレーニングが実施できると、 より都合が良いでしょう。具体的には、20~30分ジョグ、LTヒル、10~ 15分ジョグ、LTヒルなどを2~ 3セット行います。


LTトレーニングの留意点
LTトレーニングの留意点を整理しておきましょう。
・LTスピードでのペースは、主観的には「ややきつい」「呼吸が少し苦しい」と感じる強度ですが、約60分近くはキープできる速度でもあります。

・できるだけ予定されたペースで走るようにしましよう。遅くても速くても良くありません。最適な強度で費やす時間が長くなるほど、 トレーニングによる刺激が大きくなります。

・LTトレーニング後に体がきつく感じ、筋のこわばりがある時は、スピードが速い証拠です。

・LTトレーニングの量は、週のトータルトレーニングの6~ 16%に抑えます。これはオーバートレーニングを防ぐためです。

・LT持続走とLTインターバルは効果に多少の違いがあるので、隔週でとり入れましよう。片方のみの計画を立てない方が良いでしょう。
LTスピードはパフォーマンス(競技記録)と密接な関係にあります。最大酸素摂取量の増加が期待できない中高年ランナーにとっては、 このトレーニングから受ける恩恵は計りしれないものがあるでしょう。


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