目次
走る姿勢が重要!効率の良いフォームでマラソンに参加
1.フォームが違えば筋肉の働きも変わる
地球上で暮らす動物は、全て生まれながらにして重力場という力学環境の中で運動や移動を行っています。歩行、ランニングなどの、前方へ移動するという同じ目的を持った運動でも、フォーム(歩き方、走り方)が異なれば、地面からの力の受け方も当然異なり、各関節の働きが異なってきます。
同じ二足歩行といってもチンパンジーとヒトでは股関節、膝関節、足関節の働きのパターンが全く違っています。横から見たヒトの歩行は、足関節の働きが大きく、股関節の働きが小さいという特徴があります。
チンパンジーとヒトを比べるなんて極端な比較かもしれませんが、フォームの違いによって各関節の働き、つまりは各筋肉の働きが異なるのだということが理解できます。
絶対にこれが正しいというフォームはないが、「そこを直せばもっとよくなるのに」というフォームに出会うことはある。
フォームには体格の特徴や動作のクセなどが自然と現れてくるが、それらを意識してチェックすれば自分でよりよいフォームに直すことができます。
ジョギングフォームが傾き過ぎるのは、走る気持ちが先行してしまっている人に多い。上半身が前傾し過ぎていると、足が後ろに流れるばかりでスムーズに前へ運べなくなってしまいます。
つま先着地になりやすく、足や腰にムダな負担をかけてしまう。
いたずらにスピードを上げようとすると、こういった姿勢になる。
前傾している人は、まず上体を起こしてジョギング中も背すじを真っすぐ伸ばすことに注意しよう。
スキップやクロスウォークなどの補助運動以外に、中腰ウォークや片足もも上げなどを毎日のトレーニングに取り入れたい。視線はいつも水平方向に向いているように心がけよう。
悪いフォームというよりどこか気になるフォームがある。それは走り方のどこかに必ずといっていいほどムリ、ムダ、ムラがあるもの。
腰を引いたり落としたりするとラクに足が運べそうな気がするが、それは錯覚だ。かかとからの着地はできていても、総体的に足首の使い方が硬く、着地での足首や足全体のショックをやわらげることができないでいる場合が多い。
こういう人は歩幅も狭く、スピードに乗れないばかりでなく故障も起こしやすい。 トレーニングでは上半身と下半身のバランスをよくするために、前後開脚や片足もも上げなどをスキップやウォーキングに組み合わせて行なうとよい。
ひざから下をリラックスさせて、着地のときに上体がきちんと腰の上に乗ること、キックのときにひざがきちんと伸びていることを確認しよう。
フォームが後傾している人は、振り出した足に上体がついていかないため、頑張っている割には効率が悪い。
このままだと着地やキックがスムーズにいかず、スピードに乗りにくい。上体を垂直にすることを覚えるために、振り出した足に上体が乗るように心がけながら、片足けんけん、足踏み、中腰ウォークなどをトレーニングに組み入れたい。
片足けんけんで、バランスを崩すようだったら、振り出した足に上体が乗っていないという証拠。
けんけんの歩幅を小さくするなどして確実に上体が乗るように練習しよう。中腰ウォークも同様だ。踏み出した足に、腰がしっかりと乗るように心がけよう。
一般的に、内股・外股でそのまま走っていると故障しやすい傾向がある。
そうした人は、スピードや距離を調整しながら運動量を徐々に増やしていくなど、トレーニングのバランスに気をつけたい。
また、このタイプの人は腰のなめらかな動きが少ないので、クロスウォークなどの補助運動を重点的に、一直線ウォークや、内股の人は外股歩き、外股の人は内股歩きなどを加えて、ジョギングの走る感覚を獲得したい。
また、 トレーニング前にひざの屈伸やひざ回しなどでひざ関節を柔らかくしておくと、故障の発生は少なくなる。こういった点を意識しながら、次のような運動を組み合わせてトレーニングしよう。
ここでいう「効率のよいフォーム」とは、足をタイヤのように回転させ、一瞬の接地で前へ進む走り方のことです。
カカトから着地し、つま先で素早く地面を蹴ります。着地の接地時間が短いので、地面に無駄な力(ブレーキ)をかけずに、エネルギーを節約して走ることができます。
そこで重要になるのが、骨盤の動きです。通常の歩行やランニングでは、太モモから下の筋肉を動かして進むため、骨盤はほぼ動かさずに、水平に移動する感じになるでしょう。
それに対して、効率のよいフォームは、脚の支点を高くイメージすることがポイントになります。みぞおちあたりから脚を動かすと考えて走るので、脚と腰(骨盤)を同時に前へ出さなければならない。
つまり、骨盤の動きが不可欠になるわけだ。着地した脚には腰から乗り込み、キックの反発で骨盤を引き上げ、その足をスムーズに前へ運ぶ。回転軌道を描くように骨盤を動かすことで、効率のよい脚運びが可能になります。
歩幅は広げず、上下動をなくす
着地衝撃を小さくするには、歩幅を広げすぎないことが大切。上下動の大きな走りも着地衝撃が大きくなるので要注意。
ひざや脚部の筋力トレーニングを行う
シューズで吸収しきれない衝撃は筋力でカバー。そのためにも、ひざや脚部の筋力を強化しておくことが大切だ。
普段の歩き方を意識して効率の良いフォームを身につける
また、足首は90度に保ち、つま先とヒザ頭は常に進行方向に向けることがポイントです。つま先とヒザ頭が進行方向を向いていないと、ガニ股になったり内股になったりしてしまいます。まずは歩き方から見直し、効率のよい力ラダの使い方を覚えることで、フォームを改善していこう。
2.走りに必要な身体の部位とその補強のしかた
ランニングは、単調な動作を繰り返すスポーツである。走っているときの自分の姿をビルのウィンドガラスに映してみてほしい。 頭の位置、上半身と下半身の角度、腰の位置、腕の振り方、膝の位置など自分のイメージしているランニングフォームと実際の自分の姿を比較するのだ。
おそらく、理想としているフォームとの違いにも気づくはずである。 単調な運動動作を繰り返すには、その動作を維持する筋力が必要になる。
ランニングの場合は身体の幹部、つまり幹の部分がしっかりした強度を持っていないと、同じ姿勢(フォーム)を続けることができなくなる。
身体の幹とは、背中・腹部。腰部・脚部である。この幹がバランスよく、しかもしっかりした強度を持っていないとてきめんに姿勢が崩れてくる。
崩れた姿勢のままランニングを続けると身体の局部への負担を大きくし、その負担は障害を招く元凶になってしまう。
ランニングは前に進む運動だから進むことに適したフォームが大切である。このフォームは背筋・腹筋・臀筋・脚筋のバランスによって保たれているから、この4か所(体幹部)は補強しておかなくてはならない。
腹筋と背筋で上半身の一定前傾を保っている。つまり走っているときの姿勢を支えているのだ。
だいたいは腹筋が姿勢の6割を持ち、4割を背筋が分担している。 臀筋は脚部の動きを支配していて、主に股関節の動作をコントロールしている。臀筋が疲れてくると股関節の動きが緩慢になり、前進するための動力は脚筋力に頼らなくてはならなくなる。
しかし、脚筋は股関節の動きの原動力をもらわないと、とても全体重を支えながら前進力を支えつづけることはできなくなる。
このようにランニング動作では、上半身と中央部、下半身の筋肉がバランスよく鍛えられていないと姿勢を維持できなくなるのだ。
腹筋と背筋のバランスが崩れてくると、腰部(臀筋と起立筋)が上半身を支えようとする。当然、上半身の姿勢は前傾が深くなってくる。
逆「く」の字の形だ。それでも身体は前進しようとするから、前進力は臀筋と脚筋だけに頼るようになる。 大腿筋は全開で走りを支えようと頑張るが、このときはそれまで補助していた膝関節機能まで負担できなくなるから、膝周囲の靭帯は一発で傷ついてしまう。
つまり、初心者によくある「膝痛」の発生である。 したがって、走る姿勢(フォーム)を保つための体幹部は走る以上に鍛えておかなければならない部位なのである。 この体幹部の補強運動はランニングするうえでの必須トレーニングである。
3.骨盤まわりを強化する
骨盤をスムーズに動かすには、骨盤まわりの筋力を強化することが必要になってきます。ただし骨盤を動かす腸腰筋は、体内深部筋(インナーマッスル)とも呼ばれる、力ラダの奥にある筋肉です。
日常の動作では使わない筋肉である上に、通常の筋トレで鍛えるのが難しい部分なのです。そこでトレーニング方法ですが、骨盤まわりの筋力強化の他、階段を利用したトレーニングも効果的です。骨盤の動きをしっかりと意識して行うことがポイント。
まずは骨盤を動かす動作を何度も繰り返して力ラダで覚え、骨盤まわりの筋力を徐々にアップさせていこう。
4.腸腰筋で走る
腸腰筋は、モモの付け根にあり骨盤を動かす部分です。足を大きく振り上げたり、振り下ろしたりする運動に欠かせない筋肉です。体幹を使った正しいフォームを保つには、腸腰筋を使って走ることがポイントです。椅子に座り、ヒザを伸ばしたまま、足を床と平行になるまで上げてみよう。そのときに一番意識される筋肉が腸腰筋です。
5.フォームは崩れるものと割りきろう
ランニングフォームを良くしたい。しかし正しいフォームは存在しない。それは人の骨格や生活習慣などに起因するからだ。したがって、正しいフォームではなく理想のフォームを追い求めるといい。
正しいフォーム=正解。誤りのないもの=理想のフォームは正しいものに近づけるもの。よく理想的なフォームって言います。市民ランナーを対象とした公開レッスンなどでも、フォームについての質問がよく出ます。でも実際のところ、トップアスリートの中でも教科書通りのフォームで走っている人なんてあまりいないんですよ。
これが理想的なフォームというよりも、反対に今いい記録を出した人のフォームが模範になっていくという感じです。体は、その人にとって一番ラクな走り方を知っていて、それが自然にその人のフォームになっていくもの。だから走り方も人それぞれでいいと思う。あまり細かく考えないで、楽しく走ってきてください。
ここで大事になるのが姿勢だ。その姿勢を支えるのが、抗重力筋と呼ばれるものだ。この 筋肉はひとつではなく、立つ姿勢を保つそれぞれの筋肉を指す。この筋肉が弱いと、姿勢を保つことができない。
ランニングでは、理想の姿勢をどのくらい長く保てるかが重要だ。 普段の生活を考えてみよう。背もたれがないイスに長く座るとつらくなる。電車では、座っている人が足を投げ出す姿をよく見かける。それらすべて、良い姿勢を保つことができないからだ。
ランニングでは長時間走る。すなわち立ちっぱなしの状態が続く。良い姿勢を保ち続けるのは至難の業だ。大切なのは、普段から姿勢をよくすること。座る時は、「股関 節とヒザを90度」を意識しよう。
走るというのは、重力に逆らってカラダを浮かせることだが、抗重力筋が弱るとカラダを浮かせることができなくなる。
マラソン大会で最後に力を振り絞る時に、カラダのバランスが乱れ、姿勢も崩れることが多々ある。
人間は体を前に倒そうとすると、反射的に脚が前に出ます。この反応を利用することで、無理のない体重移動が可能です。わずかに体を前傾させて走るだけで、脚の動きがラクになる。しかも頭を支える首や肩のコリの予防にもなるので疲労感がだいぶ低下します。
もし、ゴールまで理想の姿勢を保てたならば、必ず良い結果があなたにもたらされるはずだ。良い姿勢を長く保つためには、鍛えるだけでなく、走っている間に休憩を入れることも大事。走っている時に、力を抜いてリラックスしよう。そうやって、休憩を入れながら走ることを覚えれば、最後に最高のパフォーマンスが発揮できる。
6.ランニング障害予防のためのフォーム
レベルを問わずランニング障害に悩まされるランナーも多いのではないでしょうか。疲労骨折、 シンスプリント、 アキレス腱炎、足底筋膜炎など、いわゆる使いすぎ症候群と言われるランニング障害、実は悪いフォームが原因となっていることが多いのです。例えば、ランニング時の足の着き方の違いで、すねの骨の捻じれる力が異なるという研究データがあります。足を体の中心近くに着く走り方は、すねの骨のねじれ力が大きくなり、疲労骨折の原因となります。同じヒトでも、 このようにフォームが異なると骨へのストレスも変化してきます。
ランニング障害予防のためには、正しいポジションで体重を支える、特に片脚支持の機能が大切となります。例えば、片脚屈伸をした時に、膝が内側に入るようなフォームでは股関節、膝関節、足関節が正しく働かず、不具合が生じやすくなります。
部位ごとのストレッチや筋力トレーニングといった訓練によって、フォームに改善していくことが望まれます。このような改善がフォームづくりの基礎となります。
フォームが変われば骨や筋肉へのストレス(負荷)が変わります。フォームは誰でも変えられます。訓練により正しい関節の動きを身につけることが、フォームづくりの基礎となります。ケガなく、楽しく、いっぱい走れるように、基礎訓練からフォームづくりを心がけていきましょう。
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