目次
ランニングトレーニングで必要な3つの原理と6つの原則
1.競技者・非競技者を問わず共通するトレーニングの3つの原理過負荷の原理
体の機能を高めるためには、 日常の活動水準以上の運動負荷を運動刺激として体に与えることによって、体が適応反応を示し活動能力が向上します。
この原理はトレーニングの原理・原則の中でも最も基本的な考え方となります。過負荷というと「非常に高強度」をイメージするかもしれませんが、運動強度がある一定以上のレベルでないと効果を得られないということを意味しています。
トレーニング刺激の3要素としては、強度・時間・頻度があげられます。
ランニングに置き換えてみると、走速度・走行時間・走行頻度となります。
自分の持久力を高めるのに必要な速度や走能力を向上させるために必要な速度を知り、速度に適した走行時間や回復に必要な休息を十分に考慮した間隔(1日の練習回数や週間頻度)での実践が重要となります。
特異性の原理
運動刺激の種類や方法に応じて、体の機能は適応します。目的とするトレーニング効果をあげるためには、 目的に応じたトレーニング手段を選択しなければなりません。
バーベルを用いてウェイトトレーニングを実施すると、重量に対応した筋力の向上は期待できますが、マラソンを走破するための持久力の向上はほとんど期待できません。
またランニングに関しても、中距離走には中距離走に応じたスピード練習が、マラソンを走りきるには42.195kmを走破するための距離の練習が必要になります。
上り坂、下り坂、ラストスパートに対応するためには、それらの状況に対応できる能力を向上するためのトレーニングを積んでおく必要があります。
このように運動には、その運動によって固有の効果があり、全体的な能力を向上させるためには1つの運動だけでは不可能です。
可逆性の原理
トレーニングによって体の機能を向上させても、その後長い間トレーニングを中断してしまうと、またトレーニングを行う以前の状態に戻ってしまいます。
体の適応は、 プラスにもマイナスにも作用します。ランニングなどの持久的トレーニングによって高められた呼吸循環機能(心臓拍出量の増大や毛細血管の増加)もトレーニングを中断してしばらくすると元に戻ってしまうのです。
オリンピック選手のように非常に長期間、高強度のトレーニングを実践した場合でも、トレーニングを中断すると心臓の能力は低下します。
また、中断せずに強度を軽くしたり頻度を低下させたりしてトレーニングを継続していると、能力の低下は緩やかになるようです。
2.トレーニングの6原則
各個人の能力、効果を確認しながら実践するための原則全面性の原則
心身の機能が全面的に調和を保って高められるようにトレーニングすることが大切です。また、体力的要素をバランスよく高めることは、健康を維持していく上でも重要です。
ランニングにおいても、走能力の向上のみに偏りすぎることなく、筋力や柔軟性等にも配慮し、体のバランスの整ったケガの少ないランナーとなれるようにトレーニングを実践しましょう。
意識性の原則
トレーニングは、 目的、目標、内容、意義等を十分に理解したうえで実践しなければなりません。指導者においてもこれらを十分理解し、実施者に理解させるよう努めなければなりません。
ランニングにおいても、走行中に、そのトレーニングの意義・目的やポイントとなる動き・部位等を意識することによりトレーニング効率が高まると考えられます。自ら進んで、 自ら考えて行うことが効果的なトレーニングとなるのです。
漸進性の原則
体の能力が向上するのに伴い、徐々に運動刺激の強度や量を高める必要があります。 トレーニングがある程度進行してくると、それまでの運動刺激の水準では、さらなる能力の向上が望めなくなります。
ゆっくりとした速度から高速へ、短い距離から長い距離へと、課題に対して適応が認められたら、段階的に負荷を高めていくことが必要です。
反復性の原則
トレーニングを数回(数日)行っただけでは良い効果は期待できません。ある程度の回数を反復することによってそのトレーニングの効果をあげることが可能になります。
1日に実施する長さ、 1週間当たりの頻度なども重要で、規則的に長期間にわたって実践しなければなりません。ただし、たくさんやれば良いというものでなく、休養とのバランスを考えることも大切です。
個別性の原則
体力、運動能力は人それぞれ異なり、オリンピック選手が行うようなトレーニングを一般の人が行うことは傷害を伴う危険性があります。したがって、各々に合ったトレーニングを行う必要があります。
自分自身の現状を理解し、最終的な目標を見据えながらも、短期的(1ヶ月程度)に到達できそうな目標を設定して、 自分に合ったトレーニング内容を実践していく必要があります。
他人との競争は、 トレーニングを続けていく上で大きなモチベーションとなりますが、経験年数の長い人や能力の高い人に無理に合わせることは、かえって逆効果となる場合があります。その人の一番弱いポイントから補強するようなトレーニングの内容を考えていかなければなりません。
継続性の原則
トップ選手も短期間の練習で成果を上げるということは、ほとんどありません。何年もの歳月を経て、素晴らしい結果を出すことが可能になります。
短期間で効果を上げようとすることはケガの原因にもなりかねません。したがって、トレーニングに体が適応するためには相当な時間を要するので、長期間トレーニングを継続する必要があります。
鍛練期・試合期・休養期・移行期など、 1ヶ月から数ケ月単位で強度を変化させながら、 目標に向かって進んでいくことも、長期間トレーニングを継続させる上では有効です。
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