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ランニング前にウォーミングアップがなぜ必要?

筋肉をあたためてエネルギー効率とパワーを高める
ウォーミングアップなどでからだを動かすと、筋内においてエネルギー源であるグルコースが分解され、熱が発生し、 まず筋温が上昇します。

筋温が上昇すると、筋はエネルギーを利用しやすい状態になるといわれています。筋温が1℃上昇するとエネルギーの利用効率は約13%上昇するという報告や、最大自転車こぎ運動の継続時間は筋温が約39℃ の時に最長を記録したという報告があります。

また、筋温が上昇すると筋の粘性が低下し、動きやすくなって、パワーが発揮しやすい状態になるともいえます。

体温を上げて、酸素をより多く使えるようにする
ウォーミングアップを行ってそれぞれの筋温が上昇すると、その結果として体温が上昇します。ウォーミングアップによって、運動開始時の酸素摂取量や心拍数の反応がよくなるとしています。

これはからだ中に酸素を運ぶ役割の血中ヘモグロビンが体温上昇とともに酸素を筋により渡しやすくなることと、軽い運動を事前に行うことによって、活動する筋への血流量が多くなり、心拍出量の増加が速やかに起こった結果だとしています。このような生体の反応により、筋は酸素をより多く使えるようになります。

そして、有酸素運動の場合では筋が酸素をより多く使えると、疲労物質である乳酸をあまり出さずに運動が続けられるため、パフォーマンスの向上が期待できます。

また、無酸素的な運動でも乳酸の酸化が効率よく進むため、運動後における乳酸性疲労からの回復が早くなるのです。

神経伝達速度を高め、動きをスムーズにする
その他、筋温や体温が上がることによって神経機能が充進します。
40℃ 程度までは筋温が高いほど神経伝達速度は速くなる(脳が命令してから筋が動くまでの時間が短縮)とされています。

筋温を上昇させると、筋が最大に力を発揮するまでの時間が短縮されると報告していますが、これは前述した筋のエネルギー利用効率の上昇や粘性の低下とともに、神経伝達速度の向上が影響しているからでしょう。

神経伝達速度が向上することで、からだの動きが円滑になり、さらに専門的な動作をウォーミングアップに組み込むことによって主運動時に、よりスムーズな動きができるようになるでしょう。

傷害を予防する
もう1つの理由に傷害予防があげられます。ウォーミングアップなしに激しい運動を行うと、拮抗筋(主働筋の動きと反対の働きをする筋肉。

例えば膝関節伸展運動時における大腿前面の筋と後部の筋)の腱付着部付近に断裂が起こりやすくなるという報告があり、その原因は「温度が低い時、筋は緩慢な弛緩をするため、お互いの筋で動きの協調性がとれないから」とされています。

つまり、ウォーミングアップをすれば、筋温の上昇により、筋が動きやすくなったり、神経伝達速度が向上したりして、筋の損傷を防ぐことができるといわれています。

また、ウォーミングアップにストレッチングを加えると、筋の損傷を防ぐという報告が数多くあります。ストレッチングは関節の可動域を広げ、パフォーマンス向上が期待できるとともに、筋や腱の断裂を予防します。また、筋肉痛を緩和するともいわれています。

もう1つの重大な効果
トレーニングにいきなり入るのではなく、そのまえにウォーミングアップを行い、ストレッチや専門的な動作を加えることによって、精神的な興奮水準も高まり、心身ともに「トレーニングできる状態」になります。これもウォーミングアップの重要な効果の1つといえるでしょう。


ランニングをする前、つまりウォーミングアップに、「どんなストレッチングをするとよいでしょうか」というご質問をいただきます。

「ストレッチ」という言葉が広く一般化していく中で、気づくと「ウォーミングアップ=ストレッチ」というイメージが広がってしまいました。

たしかに、ランニングの前に行うストレッチとして、体を動かしながら伸ばしていく動的なストレッチには、一定の効果があります。

ただし、これだけでは、ランニング前の準備として百点満点の50点といったところ。

ランニング前に必要なのは、ストレッチではなく、ウォーミングアップ。ストレッチはあくまでもウォーミングアップの一環にすぎないからです。

そもそも、ウォーミングアップの必要性とは、日常モードからスポーツモードに切り替えることにあります。
では、 一体何を切り替えればよいのか。
それは、以下の「3大シフト」と捉えています。
(1)ブラッドシフト
(2)マッスルシフト
(3)ナーバスシフト
です。
(1)ブラッドシフト…血液は、普段は生命維持に必要な脳、内臓に多く流れています。

一方、運動時には、エネルギーや体温調整を行うため、筋肉、皮膚などに流動させます。

(2)マッスルシフト…日常、筋肉は立つ、歩く、座るなど、末端側からの関節運動に依存しています。

一方、走る、跳ぶ、投げるなどの運動時には、体幹側からの関節運動に依存させます。

(3)ナーバスシフト…リラックスモードの副交感神経より、興奮モードの交感神経を優位にさせます。

前述の3大シフトを行うためには、体操やジョギングが最適です。それも、ランニング用の方法があります。

筋肉に対して、ストレッチは伸ばすこと、筋トレは縮めること、いずれにしても1方向、一部分しか動かすことができません。

一方で、体操は全身の筋肉が連鎖しながら、あらゆる方向に動きます。全身のバランスを取りながら、調子を整えることができるのです。
後述のプログラムを行い、ケガなくしっかりとパフォーマンスを発揮させましよう。