目次

1.心拍数で運動強度を把握して5つのペースで走る

GPSハート運動の強度の目安となるのが心拍数です。そもそも、この心拍数とは、心臓が全身に血液を送りだすために1分間に何回収縮するかをカウントした数のことです。

激しい運動をすればするほど、心拍数は上がってきます。だからこそ、心拍数を数えることで運動の強度がわかるわけです。

本格的にマラソンをやっている選手なら、まず間違いなく50以下の数値を示します。
実は、長距離選手の心拍数が低いのは当たり前のこと。みなスポーツ心臓と呼ばれる心臓なのです。

一流の長距離ランナーたちは、レースや激しいトレーニングのとき、1分間に160以上の脈拍数をキープしたまま、1週間以上、ときには数時間以上走り続けます。

そんな激しい運動を何年間も継続することで、心臓の筋肉が肥大してくるので容量的にも大きくなった心臓は、1回に多くの血液を身体中に送ることができます。つまり安静時の拍動数が少なくて済むということなのです。コーチが考案した運動生理学に基づいたさまざまな種類のメニューを行っているのです。

マラソンランナーのトレーニングを大きく分けると、スピードワークと長い距離を走ること、そして、補強運動などの補助的なトレーニングに分かれます。それぞれのトレーニングメニューの中に、数百種類ものバリエーシヨンがあり、LSDは、長い距離のバリエーションのひとつです。

LSDの意味は、読んで字のごとく、 ロング(長く)、スロー (ゆっくり)、ディスタンス(距離を走る)の3つの要素を含んでいます。どのくらい長く走るかというのは、コーチや選手の考え方によって違いますが、短くても2時間、長いときには5時間くらいゆっくり走っている選手もいます。

心拍数の測り方は、自分で脈拍をとって測定する方法と、心拍計を使って自動的に計る方法があります。最近は高い機能をもった心拍計が多く登場しており、腕時計と一体型のものなど、瞬時に正確な心拍数を出すなら、心拍計を使ったほうが便利です。

こうやって求めた心拍数は、ランニングのペースの目安になるのです。知っておけば役立つので、ぜひ頭に入れておきましょう。


2.最適な運動量の決め方
「つらい」と感じるところ
「どれぐらい歩いたらいいですか」とか「どのぐらいの速さで走ったらいいですか」といったことを、よく聞かれます。
しかし、その人の最適な運動量というのは、個人差がありますから、一概に言えるものではありません。
本当に最適な運動量を知ろうと思ったら、ウォーキングなどの運動をしてもらいながら心電図をとったり、吐いた息の二酸化炭素の量を量ったりして決めていきます。

ある程度以上の強度で運動すると、疲労物質である乳酸がたまり始め、呼気の中の二酸化炭素の濃度が急に上昇し始めます。
こうなると、運動をしている人はつらいと感じ始めるはずです。これが境界線
になります。

この状態以下の、まだ楽な状態の運動を有酸素運動と呼びます。これから運動を始めようとする中高年の方は、この境界線より下の強度で、ある程度楽にできるくらいの運動をお勧めします。

そんな数値をいちいち測らなくても、もう少し簡単な基準の出し方もあります。それが心拍数です。220からその人の年齢を引いた数値が、その人の最大心拍数とされます。

この脈拍数を超えるような運動をすると、血圧が上昇し、危険です。その最大心拍数の60~70%の脈拍数を目標に運動をすれば、有酸素運動としての効果が得られると考えられています。

たとえば20代であれば、1分間の脈拍が135~150になる運動が、理想的な運動強度だと言えます。50代ならば、心拍数が125~135になることを目標にしてください。

実際に脈を測りながら走ることが難しければ、「やや楽だ」から、「ややきつい」と自覚される運動量、少し汗ばむぐらいの運動量が、その人にとって最適だと考えられています。


3.自分の最高心拍数を目安に活用する
まず、各個人の最高心拍数を算出します。これは〈220-年齢)で割りだすことができます。たとえば、35歳の人なら、最高心拍数が185になります。

この最高心拍数の何%まで心拍数を高めるかによって、おおよその走るペースが決まってきます。
ここでは5つのペースを設定してみます。

心拍数で走る速さを管理できるんだな、と知ってもらうだけでかまいません。

トレーニングで目安となるのが心拍計です。
心拍計を使って、自分の1分間あたりの心拍数を逐一確認することで、具体的な運動強度を測ることができます。これによって、どれだけの負荷が体にかかっているのかを確認し、無理せず安全に走るための大きな目安とするわけです。

レースでは1分間あたり以下の心拍数を超えないようなペースで走ることが、大きなペースダウンをすることなく、安全に確実に走るための基準になります。

①のんびりペース
(最高心拍数の65%未満)
ジョギングのペース。それほどの疲れを感じることなく、比較的ラクに走り続けることができる。

②ゆとりペース
(最高心拍数の65%~75%)
20〜30kmのロングの走り込みを行うときのペース。基本的にゆとりがあるが、後半はややきつく感じることがあるかも。

③マラソンレースペース
(最高心拍数の76〜85%)
練習では10〜20kmのペース走やビルドアップ(後半にペースを上げる走り方)を行うときのペース。リズムを崩すことなく、走り通すことができる。

④ハーフレースペース
(最高心拍数の86〜90%)
5〜10kmのペース走やビルドアップを行うときのペース。頑張って走り通す必要がある。

⑤スピード負荷ペース
(最高心拍数の91%以上)
1~5kmのスピード、トレーニングやタイムトライアルなどで多用されるペース。全力で走りきらなければならない。

たとえば、1000mという距離を何分何秒で走ったという計測は容易にできます。
しかし、1000mを4分間で走ったときの平均心拍数が150回/分だったのが、1ヶ月後には140回/分に落ちた、というような計測は心拍計がなければできないことです。

こうしたペース設定の中でのんびりペースがあくまでベースになります。大切なことは、自分にとって快適なペースがどれくらいのものか心拍数で知っておくこと。そうすればこれからの走り方の使い道が広がるでしょう。


4.心拍計の機能を最大限活用する
現在、さまざまな機能を持った心拍計が開発されていますが、主機能はその名のとおり、心拍数の計測です。基本的には、1分間あたりの心拍数のデータを活用し、さまざまな機能を持たせています。

たとえば、設定した心柏数を上回ったり下回ったりした場合に音声で知らせてくれる、などといった機能です。こうした機能を活用しながら自分のデータを蓄積すれば、状況に応じて要求される適切な心拍数がわかってきます。

客観的な数値をもとに練習をすると効率よく能力をアップできるので、ぜひ活用してみてください。

また、走行距離や高度、ペースなどを測定できる機種もあります。これらのデータはすべてパソコンで管理できますので、自分のデータを蓄積してトレーニングの質や量を分析するのにぜひ役立ててみてください。
この記事を見た人は、下記にも注目しています!