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走れば脳の働きが活性化して運動能力や記憶力がアップする

脳の働きが活性化走れば頭の働きがよくなることは以前からわかっていたのですが、裏づける研究データが足りませんでした。

しかし、脳の中でも思考、意志、創造に関わる前頭連合野の働きが解明され、この部分は走ると刺激されて活性化されることがわかってきました。

その理屈とは…

ランニングをすると、前頭連合野に神経伝達物質が増えてきて、その神経伝達物質が前頭連合野の働きをさらに活発にするということです。

「走っている間には、景色が変わっていろいろな刺激を受けます。信号を渡ったり、人をよけたり、でこぼこの道を走ったりしますが、その切替えを適切に行っているのが前頭連合野なのです。

この部分が刺激されるわけですから、走れば頭がよくなり、レースに参加することも頭の訓練になるということです。

レースでよい記録を出そうと思ったら、工夫して考えながら走りますよね。レース中も、ゴールという目標に向かってどういう行動を取ればいいかを考えます。たえず前頭連合野を使っているわけです。

とてもいいことですよね。走れば頭がよくなる……
すべてのランナーにとって本当に朗報ではないでしょうか。


脳なくして運動は成立しない
ジム運動に勤しんでいる方の多く、さらにスポーツ選手にいたるまで、「どの筋肉を鍛えればいいのか?」にこだわりがちな運動現場。単純にその筋肉の力・出力を高めればいいと考える傾向も強くあります。
このような考え方が生まれるのは、複合的なスポーツ動作や運動動作を、個別要素に分解し、それぞれの要素を鍛えれば複合動作に戻った際、その動きが力強くなっているのではと捉えているからです。しかしここには若干の落とし穴があります。

筋肉が力を出すには、脳から脊髄、運動ニューロンを媒介にして筋肉へという「伝達プロセス」が必要です。

自転車こぎやウォーキングのような単純な運動であっても、この経路がなければ動けません。神経と筋肉の間には、何か特別な障害がない限り、必ずつながっているので、筋肉なくして運動は成立しないのです。
これを「神経筋協調性」と呼びます。

そして、必ずしもすべての神経細胞が1つ1つの筋肉に対応しているわけではなく、複数の筋肉に対応している神経細胞もあるので、ある運動パターンを生じさせる際には、さまざまな筋肉が反応します。

たとえば、単純に脚の筋力トレーニングをしていれば走るのが速くなるのか? というと、そう簡単な話ではありません。

動作を脳の中で何度もイメージングする、脚の運びを客観的に観察する、頭で考えながら走りのフォームを捉える、さらにそれが無意識レベルになるまで神経筋協調性の回路を高める。

ある運動やスポーツスキルを向上させようという場合には、このように「集団的」に「複合的」に「脳が機能される」状況が必要です。個々の筋を鍛えることも大切ですが、体力アップと同時にスポーツスキル向上を狙うのならば、神経筋協調性の側面も、忘れてはいけないのです。

運動で記憶力もアップ
走ると脳細胞が増え海馬が大きくなる
走る量が多くなるほど、脳細胞の数も増え、海馬が大きくなっていきます。

海馬とは、記憶に携わる部位。従って、走ると記憶力が高まります。週に1度、45分のランニングを半年間続ければ、有意性があると見られています。

もともと、人の頭、つまり脳の体積、もっと言えば前頭前野がほかの動物と比べてなぜ大きいかというと、それは、狩りという名の持久走をしてきたからです。人は速くは走れません。

その代わり、時間をかけて、長く走れるようになってきたのです。そうすることで肉を食べられるようになり、筋肉が発達し、脳も肥大化したのでしょう。

2足歩行は難しいもの。走るとなれば、なおさらです。動物は生まれた日から走りますが、人は生まれてから歩くまでに10力月程度訓練をします。そうまでして、2足歩行したいし、走りたい動物なんです。ですから、「走らなくなったら終わり」とも言えるわけです。

もちろん、他のスポーツでもいいでしょう。しかし走るという作業は、エネルギー消費量が大きいですし、短時間で前頭前野を活性化できます。それに、シューズがあれば、他に道具が要らないので、手軽です。

成人男女7人が週に2~3回のジョギングを行い、ジョギングをしなかった人と比べたところ、ジョギングをしたグループはジョギングをしなかったグループよりも一時的な記憶ワーキングメモリの働きが上昇したのです。

どちらのグループも同様の問題を行ったのですが、当初は両組とも正答率およそ65%でした。ところがジョギングをしたグループでは2週間後の正答率が95%にまで上昇。

ジョギングをしなかったグループの正答率は70%にとどまりました。ここでジョギング実践が脳の活性化に貢献した、という強い可能性が考えられたのです。

対象人数は少ないですが、正答率の大幅な上昇を考えると興味深いですね。この「記憶力」が向上するメカニズムの背景には、記憶をつかさどる海馬や運動による視神経細胞(目で見て空間認知力が向上される背景)の新生が関連しています。

新生とは新たに作られることで、通常、哺乳類の神経細胞は増えることはありません。

しかし海馬と側脳室と呼ばれる部位には、神経幹細胞が存在しており、視神経細胞の新生を行うことが報告されています。運動剌激によって、走る運動を行ったマウスの神経細胞の新生は、していないマウスの約1・5倍にもなります。

さらに、運動は、海馬の神経結合(シナプス神経細胞が情報を伝達するための中継役)の伝達効率を高める可能性があるようです。

情報をより強く速く伝達することが可能になると、記憶力がより向上するというメカニズム。

運動で記憶力が向上し、かつ年齢を重ねてもそれが可能になるのであれば、素晴らしいことですね。


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