目次

ウォーキングによる5つの効果と注意点


1.ウォーキングの効果
死亡率の低下
16936名のハーバード大学卒業生を対象に長期間観察を続けた世界的に有名な研究があります。その結果は、身体活動で1週間に2000カロリー以上を消費する人はそれ以下の人に比べて、死亡率が28%低いとの報告です。

2000を1週間の歩数に換算するとおよそ70000歩、平均で1日10000歩になります。


スタミナアップ
持久力を表すもっともよい指標に最大酸素摂取量があります。中高年者を対象にして、ウォーキングが最大酸素摂取量にどのように影響するかについて調べた多くの研究では、その増加率は7.7~29.6%という結果でした。

1回のウォーキング時間や実施する回数の多い人の方が増加率は大きいのですが、1週間に1回でも、10数キロの遠歩きであれば約10%酸素摂取量が増加します。

体重や体脂肪率の減少
ウォーキングによって体重や体脂肪が減少したとの研究は多くあります。

たとえば、食事療法に失敗した肥満の人が、食事制限をしないで、ウォーキングを1年間続けた結果、体重、体脂肪が減ったとの研究もあります。

減量効果の大きさとウォーキング実施量は当然比例しますが、1日30分以下では効果はあまりないので、時間を長く回数を多くする必要があります。

血圧に対する効果
運動が高血圧の降圧に有効であることを示す多くの研究があります。特に、軽症の高血圧に有効です。また、肥満の人は、体重減量によってより大きな降圧効果があります。

血液中の脂肪成分によい影響があり、血液中の総コレステロールや中性脂肪が高すぎる人はウォーキングによって低くなります

最近、健康診断の検査項目として取り入れられるようになってきた善玉のコレステロール(HDLコレステロール)はウォーキングによって増えます。これは運動の効果の特長の1つです。

糖尿病への効果
ウォーキングには糖尿病の予防や治療の効果があります。まず、高い安静時の血糖値を下げる効果があります。

もう1つの運動による特徴的な効果は、食事をした後に血糖値が高くなり、その血糖値を下げるためにすい臓からインスリンが分泌されますが、そのインスリン分泌量が少なくてすむようになります。
言い換えれば、効率のよいからだに変わる効果です。

2.ウォーキングの注意点
熱中症の予防には水分摂取が不可欠
熱中症とは、筋肉の熱生成と体外への放熱のバランスがくずれて熱が体内にたまり、体温が上昇して循環機能が著しく低下してしまうことをいいます。運動中に多く発生し、死亡する場合もあります。その予防法の決め手は、早めに水分を摂取することです。

のどが渇いたと感じる前に補給する
のどの渇きを感じる時期は、からだの水分が不足する時期よりもかなり遅れます。その上に、渇きをいやす水分量は、からだの水分不足を補うための必要量より少ないので、疲労を予防するためにも、渇きを感ずる前に早め早めに、また多めに水分をとることがポイントになります。

冷たい水分が最適
体温の上昇を防ぐために水分を補給するのですから、飲む水の温度は低めのほうがよいことは容易に理解できることです。そればかりでなく、その飲料水の温度は低いほうが、胃からの吸収が速く、10~15℃がよいとされています。通常は、氷をいれた水を持ち歩くのがよいでしょう。


寒い日のウォーキング注意事項
風に注意
登山中の遭難事故は、往々にして寒さに加え強風が原因になります。たとえば、4℃の気温であっても、秒速17mの強風が吹けば、-18℃の気温に等しい、つまり22℃の差があります。

このように、寒い日は、気温ばかりでなく風に注意をした防寒の準備が必要です。

重ね着で空気の層をつくる
重ね着をするとそれぞれの着衣の間に空気の層ができますが、空気こそ最良の断熱材です。羽毛の着衣が温かいのは、羽毛が効率よく空気の層をつくることができることにあります。

重ね着の仕方
着衣は素材によってそれぞれ特徴があります。素肌につけるものは何といっても綿製品です。綿は汗をよく吸収するので体表からの水分蒸発によってからだが急に冷えることを防いでくれます。

中間層としては、効率よく空気の層をつくってくれる素材がよく、その筆頭が羽毛製品です。ただし、あまり厚手のものは、必要に応じて脱ぐのに不便なので、その上に着衣するものとの組み合わせを考えて、選んでください。

風が強くない日は一番上に着るものとしてはウール製のものが適当です。綿製品は水を吸収するので雨や雪でぬれた場合、断熱効果がほとんどなくなってしまうので上着にはむかないが、ウール製品はたとえ濡れても内側から乾くので、断熱性を保持することができます。

風の強い日や、風に向かって歩く時にはさらにウインド・ブレーカーを着用し、雨や雪の際は、水分をはじくいわゆるカッパ兼用のウインド・ブレーカーを一番上にします。

状況に応じた手早い着脱衣を運動をすると体内で熱が生産されます。そのよい例が冬季のラグビー試合における選手と観客の服装です。選手は体熱生産が大きいのでバンツー枚のジャージー姿で平気の平左、汗をかいていることもしばしば、対する観客は震え上がっている、という光景です。

ウォーキングでも少々きつい上りであれば、安静時の数倍の熱生産があります。したがって、ウォーキング中に気軽に着脱衣ができるようにしてください。

特に、上りで汗をかいて、平坦になって一休み、といった時には、下着をすぐに取り換えないと汗でからだが急に冷え込むことになります。

下着の着替えを用意しておくことは無論のこと、全部脱がなくても簡単に下着の着替えができるような、たとえば上から脱げるような両わきのあいた綿製品を着て、そのうえさらに綿の下着を着ておくなどの工夫が必要です。


食後の注意
運動中は内臓への血液の流れが減少する
心臓からでる血液が、からだのいろいろな臓器に流れこむ量は自律神経によって自動的に調節されており、たとえば、自分の意思で胃腸に血液を多く送り込むことはできません。

運動は、その強さが強いほど、手足の筋肉や心臓への血流量は増加しますが、胃腸、肝臓、腎臓などの内臓への血流量は減少します。したがって、食後には運動をしないでのんびりしているほうが消化吸収のためによい、これが原則です。

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