マラソン大会前日から当日までの食事メニューのまとめ
1.人間の体が100%フル稼働状態になるのは、起きてから5時間経過した頃と言われています。前日の夕食はいつもより早め食べて、早めに就寝しましょう。
夕食でのアルコールは控えましょう。
食べてから胃を通過するまでに少なくとも1時間30分から2時間はかかるようです。
食べ物が胃に残っていると走りにくいし胸郭を圧迫して呼吸がやや苦しくなります。そうなると、スタートの1時間30分前からはあまり食べるわけにはいきません。
そう考えるとレースの3時間前~1時間半前までに、炭水化物を中心に消化に良いものを摂りましょう。
食事内容は炭水化物中心の食事です。(ご飯、パスタ、麺類が良いでしょう。)
2.スタート直前の食物
試合を控えての前日から当日についてですが、ステーキやトンカツなどのこってり系は消化が遅いので避けます。なるべく、消化のいいうすい肉あるいは魚を選びます。調理方法も油を控えめにします。
消化がよくエネルギーになる糖質をメインに、糖質をエネルギーに変えるビタミンB1を合わせてとります。
当日であれば納豆やハム、前日であれば豚肉の薄切りが適当です。
繊維質のものを多く採ると、ガスの発生により、横腹痛の原因になりやすいので注意します。
スタート直前の食物
試合当日のポイントは、「いかに、空腹感を感じさせないか」ことです。空腹感を感じると、疲労感(けだるさ)が増し、フィジカル・メンタル両面に影響するからです。
最近まで、血液中のエネルギーレベルが高い(血糖値が高い)と空腹感を感じずに済むと考えられてきましたが、他の要因もあることが分かってきました。
空腹感をコントロールする機能は、脳の下部に位置する視床下部にあります。空腹中枢を活発にさせる要因は多々あり、それは血糖値であったり、血中のアミノ酸値である他、脳の温度にもよります。
走っている途中の食事
走り始めはできるだけ固形物は避けた方が良いです。体も温まっておらず、走ることに体がなじんでいないので、このタイミングで食事をしてしまうと体への負担が大きいです。
個人差はあると思いますが、10キロ程度は給食不要だと思います。あとは、意外と摂取しない人が多いですが、塩が非常に重要です。特に夏のランニングでは意識して摂取するようにしてください。
塩分が不足すると痙攣や足が攣ってしまう原因となります。それ以外でお勧めの給食としては、個人的にはスポーツようかんです。かさばらないですし、カロリーも高いです。軽さとカロリーの高さという点では、ナッツ類もおすすめですね。
【血糖】
血糖は、最も素早く又強い信号を体に送ります。 視床下部には血糖値センサーがあり、血中のぶどう糖値が下がると空腹を感じるようになっています。ぶどう糖は脳や神経機能を正常活動する上でも、重要なエネルギー源となっています。
空腹をガマンして活動すると、体がけだるく感じますが、それはぶどう糖が枯渇しているからです。
【アミノ酸】
アミノ酸も空腹感に影響を与えます。肝臓はアミノ酸をぶどう糖に変換する事ができます。アミノ酸は言わば、タイムリリース(ゆっくり消化される)カプセル入りのぶどう糖のように働きます。
通常食べ物からエネルギーを使い果たすと、血糖値を維持する為にアミノ酸をぶどう糖に変換し、飢えをしのぎます。
ですから、特に朝食にたんぱく質(肉類、魚類、卵、乳製品等)を加えると、空腹感を感じずにより長時間活動できるのです。
【脳の温度】
脳の温度も影響力が有ります。寒いと空腹感をより感じます。
消化は熱エネルギーを発生させます。また、適度なウォームアップとウェアによる保温で体温を維持し、空腹感を和らげるのも方法のひとつです。
【カロリーメイトやウイダーゼリーについて】
ストレッチ・リセプターと言って、胃に食べ物や水分が入ることで、胃壁が伸ばされ、空腹感がなくなるよう反応します。
スタート前に、空腹感によるけだるさがあれば、早めに摂取し、癒しておく必要があります。
3.当日は「噛む食事」で調子を上げる
フルマラソン前に何を食べるか。 大会前の1週間は、脂っこくないおかずを中心にした和食をお勧めしています。お米で炭水化物をしっかりと確保しつつ、おかずにはタンパク源として肉や魚、豆類を一品入れる。というのも、これらの食品には、エネルギーをつくり出すビタミンも豊富に含まれているからです。 注意すべきことはそれくらいで、特別な食事をする必要はありません。
大会当日の朝は慌ただしいので、なかなか自宅で朝食をつくるのは難しいかもしれません。そんな時はコンビニ調達でも十分です。 そして、ビストンやツイストなど、走り方(体型別)によって不足しがちな栄養素があるので、それを補うお勧めの食事も紹介しておきます。
ピストン走法の人→糖質を摂っておきたいので、焼きそばパン
スイング走法の人→パワーが欲しいからハムサンド
ツイスト走法の人→ビタミン、ミネラルを補いたいからレタスサンドと、
そんな分け方もできると思います。 共通して言えることは、しっかりと噛むことです。
第一の消化酵素である唾液を出すためには、咀疇が大事。普段よりきちんと噛んで食べることで、ランニングの調子が上がります。
そういう意味では、ゼリー状の携帯食やバナナで朝食を済ませるのは避けたいところです。
一時的に血糖値が上がるものの、スタートする頃にはストンと下がり、体が冷えた状態で走り始めることになるためです。
朝食はしっかり摂って、体を温めること。 その上で、「小腹が空いたな」という感じならバナナをかじって栄養補給というのもいいでしょう。しかし、ラクチンだからと、咀疇の少ない食品だけに頼らないことです。
4.知っているようで知らないカーボローディング
マラソン大会で長距離を走っていると、特に足が痛いわけでもなく、心肺がつらいわけでもないのに、足がだるくなって思うように走れなくなった経験はありませんか。これは、走るためのエネルギーが切れてしまった状態です。ある程度は給食ポイントで補給すればいいのですが、距離によっては、ランニング中に食事を取りすぎると逆につらくなります。
こういった状況を避けるために重要なのが、カーボローディングと言われる準備です。具体的には、大会の1週間前から3日前にかけて、とにかく炭水化物を摂取するという方法です。
こうすることで、走るためのエネルギーを体に蓄えておくことができます。大会1週間前を切るころには、練習も少し軽めの調整程度にして、パンやスパゲッティ等の炭水化物を多めにとるように心がけましょう。これだけでも、ランニング中にガス欠状態になるリスクを軽減できます。
カーボローディングとは、そもそも何か。語源は、カーボ(炭水化物carbohydrate)とローディング(運搬loading)の合成語で、エネルギー源として必要な炭水化物を体内に必要量を超えてため込み、大会に臨む方法だ。
大会1週間前から3日程度、タンパク質中心の食事にし、炭水化物を控える。
カラダは炭水化物をほしがっているので、4日目から炭水化物に切り替える。そうすると、普段より筋肉の中の炭水化物量(糖)が増加(約2割増)し、マラソンなどの長時間運動のスタミナ維持に最適と言われる。
しかしこれには落とし穴がある。4時間以内で走り切るランナーには試す価値はあるが5時間以上かけて完走するランナーは、そこまで運動強度を上げないので、長時間による空腹はあってもエネルギー切れとはならない。
逆に練習でカーボローディングを試さずに本番前のみ試しても、普段と違う食スタイルになってしまう。
大会へのストレスに加え、ライフスタイルも乱れ、より緊張をあおるので普段通りの食事をしたほうが望ましいだろう。良さそうだからといって試すのは危険だ。
5.マラソンの成績をアップさせる食べ物
それさえ食べればとてつもない力を発揮するという物はありません。しかし、長距離ランニングに有利に働くのではないか、といわれている食品や栄養素はいくつかあるのです。ビタミンEがマラソンなど持久的スポーツの成績向上に効果があるという研究がなされたのは、メキシコ。オリンピックの前でした。
標高2000m以上の高地で行われるオリンピックを前にして、その影響を最も受ける長距離やマラソンに対し、当時さまざまな科学的アプローチが行われたのですが、その成果のひとつとしてビタミンEの効果が突き止められたのです。
ビタミンEを多量に摂取することで、ランナーの最大酸素摂取量などが改善するというものでした。
ビタミンEは血流を改善する作用のあるビタミンなので、それが酸素の運搬能力を高め、最大酸素摂取量などに影響を及ぼすのでしょう。
ビタミンEは、穀物の胚芽(全粒小麦のパンや胚芽米)、胚芽油、ゴマ油、緑黄色野菜、ナッツ類、大豆などに多く含まれています。
オーストラリアのかつての名コーチ、パーシー・セラティは、チャンピオンを目指すランナーの食事として、精製しない穀物や、くるみなどのナッツ類を勧めています。
これらがいずれもビタミンEを豊富に含む食品だという点に注目すべきかもしれません。もうひとつ、長距離ランニングやマラソンの成績に関係するといわれているのが、不飽和脂肪酸です。
脂肪酸は脂肪を構成する成分で、これには飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とがあります。
簡単に説明すると、常温で固まる脂肪(牛肉や豚肉の脂肪、バターなど)にいのが飽和脂肪酸、常温では液体になる脂肪(植物油や魚の油など)に多いのが不飽和脂肪酸です。
わかりやすく説明すると、牛肉や豚肉を食べて飽和脂肪酸をたくさん取ると、血はどろどろした感じになり、毛細血管の中を流れにくくなります。逆に植物油や魚を食べて不飽和脂肪酸をたくさん取ると、血液はさらさらした感じになり、毛細血管の中でもスムーズに流れて行きます。
私たちが走る時には、血液に含まれる赤血球によって、酸素を筋肉組織のすみずみまで送り込まなければなりません。
したがって、不飽和脂肪酸を取って赤血球がスムーズに毛細血管内を通過するようになることは、ランニングの能力を向上させる上で効果があるわけです。
また、赤血球の直径は毛網血管の直径より大きいので、毛細血管を通過する赤血球は変形しなければなりませんが、不飽和脂肪酸の一種であるEPA (エイコサペンタエン酸)には、赤血球の変形する能力を高める効果があるといわれています。つまり、それだけ赤血球の流れをスムーズにしてくれるわけです。EPAはイワシやサバの脂肪に多く含まれています。
以上の理由によって、マラソンの数日前から牛肉や豚肉の脂肪はなるべく控え、植物油や魚(特にイワシなど)を食べた方がいい、と主張する学者もいます。実際にどれほど効果があるか定かではありませんが、試してみる価値はあるかもしれません。
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