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シューズと裸足のランニングを比較して着地の衝撃を抑えれるのはどっち

1.ランニングシューズは必要ない
現代のランニンクシューズの主な役割は、着地の衝撃から足を守ることと、オーバープロネーションを防ぐことだ。底部にはめ込まれた緩衝材が、カカト着地を可能にする。

特にランニングシューズには、つねに最新の技術を駆使した緩衝材が導入され、衝撃を吸収するという観点からすると、性能の向上はめざましい。当然、ケガやヒザの痛みは減るはずだと思うだろう。ところが実際は増えているのだ。

カカト着地には、重心が内側にかかるプロネーション(回内)という動作がつきものだ。過度のプロネーション(オーバープロネーション)は、シンスプリント(スネの鈍い痛み)の原因になる。そのため、シューズの中には、中足部に固い素材を入れて、オーバープロネーションをやわらげる工夫がなされているものもある。

ところが、これがさらに強いプロネーションを生み出すことが指摘され始めた。シューズがケガの原因を作り出し、助長している可能性があるというのだ。

シューズ着用が招く筋肉の弱体化と機能低下
また1984年には、着地時のプロネーション(足首の回内)の角度が調べられた。
裸足では0~4度と小さかったのに比べて、スポーツシューズでは10度、オーバープロネーションを防ぐ中敷(カスタムインソール)が入ったシューズでは17度という結果が出た。

これはプロネーションを軽減するためのシューズが、逆に強めているという皮肉な証明になった。足の動きを不自然に矯正すると、本来持っている足の機能が失われてしまうのだ。

裸足ランニングでは、足にかかる衝撃を、体が持っているパネで吸収する。また、シューズが招くオーバープロネーションも防げる。

2.シューズと裸足で比較
まずは、シューズと裸足を比較しながら、裸足ランニングの力学を説明しよう。
カカト着地(シューズ)では、足は斜め前方へ伸びて、角度がついたまま地面に着く。そのために、着地のたびに地面に対して斜め後ろへのマイナスの力が生じる。

これでは着地のたびにブレーキをかけながら前進しているようなものだ。プールの中で走ることを想像してみよう。ただでさえ水の抵抗が発生する水中では、カカト着地で前に進むことは困難だろう。
それに対し、フォアフット着地(裸足)では、足は真上から下りて、垂直に近い角度で地面に着く。着地のときにブレーキがかからないので、ロスがないのである。

カカトやヒザへの衝撃を足底筋やヒラメ筋が吸収
また、フォアフット着地は、ケガの予防にもなる。一般的に、着地時の足には体重の約3倍もの衝撃がかかるといわれる。

カカト着地ではこの衝撃を吸収するのはシューズの緩衝材だ。緩衝材の性能を上回る衝撃は、ヒザや股関節ヘダイレクトに伝わる。関節には衝撃を吸収する機能はないから、ランナーはシューズの性能を追い求めるが、衝撃を完全に吸収はできないので、結局はケガにつながってしまう。

一方、フォアフット着地の場合、最初に足裏の足底筋が着地の衝撃を吸収する。さらに、カカトが地面に下りていくときに伸ばされるヒラメ筋が、ゴムのように使われる。この2段階の衝撃吸収機能が働くので、衝撃はヒザへはほとんど伝わらない。高い所から飛び降りれば一目瞭然だ。

アーチとヒラメ筋は推進力も作りだす
最後に、推進力を得る方法を比べてみよう。カカト着地では、着地したカカトから足の前方へ体重を移動し、最後にフォアフットの部分で地面を蹴る。主にふくらはぎの筋力を使って進んでいる。

これに対してフォアフット着地では、衝撃を吸収した際に使った足底筋と、着地で伸びたヒラメ筋が元に戻ろうとする力を利用して推進力を生み出す。ゴムは一度伸ばしたほうが勢いよく縮む。それと閉じ原理だ。以上のことから、裸足ランニングが理にかなっていることがわかってもらえるだろう。


裸足ランニング専用のシューズを試してみよう
イタリアのビブラム社が開発したファイブフィンガーズは、裸足ランニングに適したシューズのひとつだ。一般的なシューズとの一番の違いは、靴先が5本にわかれていること。アウトソールはわずか2、3ミリとかなり薄い。緩衝材を使わないことで、カカト部分が削られ、人間がもつ足本来の機能を最大限に引き出してくれる。
自分の感覚を大切に、専用のシューズを履いてレースにのぞめば、目標のタイムに一歩近づけるかもしれない。

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