マッサージの基本を全身の部位別に初心者でも分かりやすく手順を解説
頭・首①頭や首は皮膚が薄いため、指先を十分にケア(爪切りなど) してから行います。
②強くもむと筋肉を傷めるおそれがあるのでもの足りないぐらいの力で行います。
③首は、板状筋、胸鎖乳突筋、僧帽筋の位置を確認し、筋肉の流れに沿ってマッサージします。頭は首の延長として軽くさすったり、もんだりします。
④首は、前後・左右に曲げにくいほう、まわしにくいほう、張りやこりの状況をチェックしながら行います。
頭部の基本
①四指揉捏で緊張をやわらげる
頭は四指揉捏を中心に行います。親指を除いた4本の指で、頭皮の全体を動かすようにやさしくマッサージしていきます。
②両母指揉捏でポイントを刺激する
両手の親指を使って頭皮に大きく円を描くように動かすマッサージです。
マッサージをする方向は頭頂付近から首のほうに降りていき、1カ所に対して2~3回、円を描くように行います。
首の基本
①四指軽擦で張りや緊張をやわらげる
首のマッサージでは、初めに四指軽擦を行います。
耳の後ろから肩口に向かって一定方向に、親指以外の4本の指で軽くさすっていきます。 このとき、筋肉のこりや張りをチェックしながら行い、操提法や圧迫法のときに重点的にマッサージします。
②母指操提でポイントを刺激する
耳の後ろの頭蓋骨のくぼみあたりから下に向かって頸椎にあてるようにしてもんでいきます。 筋肉を親指の腹でしっかりとらえて、円を描くように行います。 頭と同様、首の筋肉は繊細なため、力を入れすぎず、やや物足りないくらいの力でもむのがコツです。
肩
①僧帽筋、三角筋を中心にこりや張りを取り除くための把握揉捏や叩打法などを用います。
②強い力でマッサージし続けると、筋肉を傷めてしまうおそれがあるので注意しましょう。
③肩鎖関節ねんざや肩関節脱臼の後遺症対策として肩まわりを重点的にマッサージします。
④肩周囲炎対策として肩甲骨まわりや大胸筋へのアプローチもあります。
肩の基本
四指軽擦で張りとこりをチェックする
肩のマッサージは、首からの延長ととらえて上のほうから軽くさする四指軽擦から始めます。 僧帽筋の位置を把握して張りや硬さをチェックしながら行います。 首と肩の形に合わせて、なめらかに軽擦してください。
四指揉捏で円を描くようにもんでいく
僧帽筋上部に対し、親指以外の4本の指を引っかけるようにして行います。 指先を少し曲げた状態で小さく円を描くようにマッサージしていきます。
肩甲骨まわり
①投球動作ばかりでなく、長距離走などでも疲労を感じやすい筋肉が集まっているため、マッサージでケアを怠らないようにします。
②筋肉の柔軟性がなくなるとこりを訴えやすいので、定期的に軽擦法などで柔軟性チェックを行うようにしましょう。
③「肩甲骨まわり」のマッサージを行う前に、身体の前面の大胸筋や三角筋のマッサージをあらかじめ行っておくと、より効果が高まります。
肩甲骨基本
両手掌軽擦で肩甲骨まわりの緊張をやわらげる
両方の肩甲骨の問を起点として、両手の手のひら(または手の根元)で首方向、三角筋方向へと2つのラインをイメージしながらさすっていきます。 三角筋方向へは、肩甲骨を包み込むようにしてさする感じで行ってください。
両母指揉捏でもみほぐす
両方の親指を重ねた状態で操捏を加えます。
両母指圧迫と同じように、脊柱と肩甲骨の縁に沿ってもんでいきます。 1カ所に3回から5回ほど円を描くようにもみ、少しずつ上のほうに移動していきます。 肩甲骨まわりの筋肉は、強い力でもみ続けるともみ返しが出やすいので、力加減に注意しましょう。
背中
① まずは両手掌軽擦で、張りやこりなどの筋肉の状態をチェックします。
②背中はマッサージする面積が広いので、ポイントとなる脊柱起立筋群や僧帽筋、広背筋を重点的に行うようにします。
③基本的なテクニックの軽擦法、揉捏法に加え、バリエーション豊富な叩打法を使用すると、筋肉にいろいろな刺激を与えることができます。
背中の基本
両手掌軽擦で背中の広範囲をチェック
背中は広い範囲のため、脊柱の両サイドを腰から首までと、三角筋までの2つのラインに分けてさすっていきます。
軽擦法の目的の1つである張り、こりなどの筋肉の状態チェックも、広い範囲にわたるため、見落としのないようにしましょう。 脊柱付近は姿勢を保つための筋肉があり、疲労がたまりやすく、しこりができやすいので注意しましょう。
両母指揉捏でしこりをほぐす
脊柱起立筋群を両母指揉捏する場合は、親指を重ねて腰から首の方向にもんでいきます。 1カ所につき3回から5回ずつ円を描くようにもみ、しこりなどをもみほぐしてから次のポイントに移ります。 脇腹に触れる4本の指には力を入れず、親指だけに力を入れるようにして行います。
腰・腹
①「脊柱起立筋群や腰方形筋など、対象となる筋肉の部位をしっかり把握して行いましょう。
②激しい腰痛があるときは、マッサージの前に医療機関に受診し、痛みが軽快してから行うようにしましょう。
③腹のすぐ下には内臓があるため、強い力でもまないようにするとともに、マッサージ前には爪切りをして皮層を傷つけないようにします。
④腹痛のときは行わないようにします。
腰の基本
両手の親指を重ねて腰の筋肉をもみほぐします。
しこりや張りのある部位を重点的に行います。 腰の筋肉は大きいので、腕を大きく使いながら腰をゆらすようにしてもんでいくとよいでしょう。
腹の基本
四指軽擦で緊張をとる
仰向けになった状態で行います。
両手をそろえて腹に置き、縦に軽くさすっていきます。おヘソの下から上に向かって一方向に行います。 腰や背中とは異なり、腹部はすぐ下に内臓が収まっているので、体重をかけたり力を入れすぎないよう注意してください
上腕
① 三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋に分けてマッサージします。
②上腕二頭筋、上腕三頭筋など身体の前面・後面を順にマッサージする場合は、手を持ち替えて反対の手で行うと効率的です。
③上腕筋の筋肉は力任せにつかんだり押したりせず、力加減を受け手に確認しながら適度な力で行うようにします。
④筋肉の緊張をやわらげることもできます。
上腕の基本
手掌軽擦(または四指軽擦)で緊張をとる
筋肉の張りをチェックしながら、三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋を内側、中央、外側の3つに分けて軽くさすっていきます。
三角筋を行う場合は、腕を膝にのせて行うと筋肉がゆるんで効果的に軽擦することができます。 上腕二頭筋、上腕三頭筋を行う場合は、肘から三角筋まで途中で止めずに一気にさすっていきます。 女性や腕の細い人には、四指軽擦を行うとよいでしょう。
把握揉捏で3つの筋肉をもみほぐす
三角筋を行う場合は、腕を膝の上にのせておいてから筋肉をつかみます。大きくつかんだら、手首ごと動かすようにするとうまくもみほぐせます。 上腕二頭筋や上腕三頭筋を行う場合は、片手で前腕を持ち、腕を伸ばした状態で行います。 上腕三頭筋の筋肉は大きいため、上腕骨をつかむようにするともみやすいでしょう。
前腕
① 前腕は内側、中央、外側の3つのパートに分けて行うのが基本です。
②内側の前腕屈筋群、外側の前腕伸筋群、どちらが疲労しているのか確認しながら行うとよいでしょう。
③軽擦法、揉捏法に加え、筋肉をストレッチさせる伸展法をうまく組み合わせると、さらに効果的なマッサージとなります。
前腕基本
手掌軽擦で筋肉の張りをとる
前腕を上から見て内側、中央、外側の3つに分けて、手掌軽擦を行います。 手首から肘を越えるまで手のひら全体でさすっていきます。
内側を行うときは手のひらを上向きに、外側を行うときは手の甲を上側にすると行いやすいでしょう。 腕の細い人や女性の場合は、親指以外の4本の指で行う四指軽擦をお勧めします。
母指揉捏で手首を曲げ。伸ばす筋肉をもむ
手掌軽擦と同じように、内側、中央、外側の3つのパートに分けて行います。
内側、中央、外側と、筋肉の状態を親指でチェックしながら、1カ所につき3~5回ほど円を描くようにしてもんでいきます。 野球のバットや剣道の竹刀を握り続けると疲労しやすいため、物を握るときに働く小指側の屈筋群の硬さに注意しながら行います。
殿部
①殿部はマッサージする範囲が広いので、内側、中央、外側の3つのパートに分けて行います。 ② 大きな大殿筋、小さめの中殿筋の位置をよく把握してマッサージを行います。 ③圧迫法では、しっかり押さえられるよう殿部の面に対して垂直に力を加えるようにします。
殿部の基本
殿部の広い範囲を軽擦する
殿部はマッサージする範囲が広いので、内側、中央、外側の3つのパートに分けて行います。 まずは内側を、太ももの付け根から殿部を越えて腰あたりまで、両手のひら(両手掌軽擦)、または根元(両手根軽擦)でさすっていきます。 同じように、中央、外側も行います。
殿部の大きな筋肉を圧迫する
両手掌軽擦と同じように殿部を3つのパートに分け、両手の付け根で押していきます(両手根圧迫)。 殿部の中央から腰に向かって、1カ所につき3~5秒間程度圧迫しながら、移動していきます。殿部の面に対して垂直に押すことで、より効果的に圧迫できます。(両母指圧迫)
大腿(前部・後部・外側)
①大腿前部は内側、中央、外側の3つのパートに、後部は内側、外側の2つのパートに分けてマッサージします。
②大腿前部をマッサージするときは、膝の下にタオルなどを置いて大腿四頭筋をゆるめて行うと効果的です。
③大腿後部では、坐骨神経や坐骨結節部など、特定の部位をマッサージする方法もあります。
④ハムストリングス肉ばなれの後遺症対策として、疲労や張りを感じたときに行う強擦法や圧迫法があります。
大腿前部の基本
手掌軽擦で張りやこわばりをチェックする
大腿前部は内側、中央、外側の3つのパートに分けて行います。 膝の下にタオルなどを置いて大腿四頭筋をゆるめます。 手のひら全体を使って、内側、中央、外側と、膝から大腿を通って脚の付け根に向かって軽くさすっていきます。
内側や外側をさする場合、しっかりさすれるよう左右の手を入れ替えて使うとよいでしょう。 脚の細い人や女性には、親指を除いた4本の指で行う四指軽擦で行いましょう。
大腿後部の基本
手掌軽擦で張りやこわばりをチェックする
大腿後部の軽擦は、内側と外側に分けて行います。 膝の裏から殿部中央にかけて、手のひら全体を使って軽くさすっていきます。 太ももの裏側は疲労がたまりやすく、肉ばなれを起こしやすい部位なので、この段階で張りやこわばりをチェックしておきます。
大腿外側の基本
手のひらを使った軽擦法と揉捏法
大腿外側の筋肉を手のひらでさする手掌軽擦と、もみほぐす手掌揉捏です。 膝の外側から腰骨付近まで、手のひらを使って軽くさすっていきます。 筋肉の張り具合を確かめながら行い、手掌揉捏に移っていきます。 より力を込めたい場合は、手の根元を使う手掌揉捏を行います。 大腿外側は、長距離走者で疲労しやすく、全身疲労度の目安になるポイントでもあります。
膝
①膝のマッサージは、主に傷害予防やケガの後遺症対策として行われることが多く、膝蓋骨まわりの筋肉や膝蓋靭帯に対する特殊なマッサージを行います。
②膝は大腿四頭筋の延長にあり、膝まわりや膝蓋靭帯をゆるめるために、膝下にタオルなどを置いて行います。
③両母指揉捏や膝蓋骨移動法・腱移動法では、指先を使うため、事前に爪のケアを十分に行いましょう。
膝の基本
まわりの環状軽擦
膝のまわりを手の小指側で軽くさする方法です。 膝蓋骨のまわりを両手で包み込むようにして、小指側で半円を描くように軽くさすっていきます。 下側から縁に沿って、下から上へと一定方向に繰り返し行ってください。
膝まわりの両母指揉捏
膝蓋骨のまわりを下から上へと包み込むようにして、両手の親指の腹を使ってもんでいきます。 膝蓋骨ではなく、骨と肉との間を細かくもむようにしてください。
足の裏・甲・足首
①軽擦法で筋肉をゆるめるとともに、疲労や痛みのポイントを見つけて、圧迫法や操猩法で重点的にもみほぐしていきます。
②足の裏は中央、外側に2本ずつ、計4本のラインをイメージし、その上を圧迫、 操提していき、足の甲は中足骨の間をさすっていくようにマッサージします。
③足底筋膜炎になりやすい踵骨まわりや、アーチの内側は、親指で十分にもみほぐすようにします。
④足首のねんざ対策として、くるぶしまわりの靭帯をさすったり、腓骨筋をもみほぐしたりします。
足の裏の基本
指顆軽擦で足の裏の張りをと
足首の下にタオルを敷き、少し膝を曲げた状態で筋肉をゆるませます。 足の裏に拳をあて、足趾(足の指)からかかとに向かって手首を返すように軽くさすっていきます。 足の裏の硬さや、こすったときに痛みがあるかどうかをチェックしながら行います
足の甲
母指強擦で中足骨の間をさする
硬い地面や長距離を走った後に傷めやすい中足骨の痛みを予防するマッサージです。 足の甲にある長母趾屈筋腱や長趾屈筋腱などの腱や腱の間を、親指で強くさすっていきます。 しこりや腫れをつぶすようにして行うとよいでしょう。
足首
環状軽擦でくるぶしのまわりをさする
足首のねんざはスポーツ傷害の中で最も多く、クセになるとなかなか完全に治りにくい傷害でもあります。足首まわりをマッサージすることで、ねんざの後遺症として残る痛みや腫れを軽減させます。 環状軽擦は、手を少し丸めて、くるぶしの周囲に沿って小指側をあてて円を描くようにさすっていきます。
この記事を見た人は、下記にも注目しています!