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ピッチとストライド走行の違いや疑問などを徹底調査

ピッチ走法ORストライド走法1.ピッチで走るかストライドで走るか

歩数が多く歩幅が狭い走り方を「ピッチ走法」、逆に歩幅が広く歩数が少ない走り方を「ストライド走法」と称します。どちらのタイプのランナーが多いのでしょうか。

じつはトップアスリートでさえ、千差万別です。かつての名ランナーの瀬古利彦選手のピッチ数は、1分間に200歩を超えていました。世界陸上やオリンピックで活躍した土佐礼子選手もピッチ数が相当多いランナーです。

一方、長身のランナーに多いのがストライド走法で、かつての宗兄弟や中山竹通選手が当てはまります。アテネオリンピックで金メダルを獲得した野口みずき選手もストライド走法の代表でしょう。野口選手の、小柄ながらもダイナミックなフォームはとても印象的です。

一定の距離を走るピッチの数とストライドの輻は、どのように決まるのでしょうか?
以前、いろいろなピッチ数(裹を返せば、ストライドの幅)で走った時に、その経済性はどうなっているのか実験をしたことがあります。

経済性の良し悪しとは、「酸素摂取量が低いほど」経済的に走っていると判断します。

実験の中でわかったことは、人それぞれで効率的なピッチ(とストライド)が存在していること、そして効率的なピッチ(とストライド)はランナー自身が自然に選択している、ということでした。人は誰に言われるでもなく、効率のよいピッチとストライドで走っていたのでした。



2.ピッチ走法がおすすめのわけは?
箱根駅伝で、かつて優勝したことのある大学のコーチと話をしていたとき、そのチームはストライド走法で走ることを選手に説いている、と話されていました。

クロスカントリー走(最近はトレイルランニングと言われますね)を頻繁に行い、ダイナミックなフォームで走る選手たちは、確かにストライド走法に見えました。

競技として走っているランナーなら、脚筋力をつけ、スピード練習をしてストライド走法で走ることが可能かもしれません。しかし、みなさんには、あえてピッチ走法をおすすめしたいのです。

理由の一つめは、ピッチ走法はストライド走法に比べて脚筋の負担が少ないことがあげられます。ランニング中の脚にかかる負担は、体重の2~2.5倍と言われています。

1歩1歩の負担が少しでも減れば、故障するリスクを抑えることができます。また、レース中に脚の疲労を抑えられるかもしれません。

ウルトラマラソンのランナーは、走速度が遅いこともありますが、歩く延長で走っているように見えます。そのピッチ走法的な走り方も、脚への負担軽減の参考になるはずです。

おすすめしたい理由のもう一つは、ピッチ走法はリズムをとりやすいことにあります。

上り坂では、どうしてもスピードが落ちてしまいます。しかし、速度が遅くなってもピッチを落とさないように走れば、リズムを崩さずにすみます。

下り坂であれば、ストライドが広がり速度が上がります。下り坂でも、ピッチが平地や上り坂と同じであれば、リズムよく下ることができるのです。「適したピッチで走ってみる」まずは、坂道を走ることで実感してみましょう。


3.全身をフルに使ったダイナミックな走り
フォームを語るときには、「ストライド走法」「ピッチ走法」という分け方もありますが、二者択一でなくても自分の骨格に合わせてダイナミックに動けるストライドとビッチがベスト。そうシンプルに考えてください。

全身をフルに使ったダイナミックな走りができているかどうかは、次の2つの点でチェックできます。

1つ目は、ダイナミックに走っていると、つま先が視界に入ってくるということ。その際、内股気味でヒザが内側に入り過ぎたり、逆にガニ股気味でヒザが外側に逃げたりしないことも大切なポイントです。

ヒザが内側に入り過ぎると故障のリスクが高くなり、ガニ股気味だと走りにブレーキがかかるからです。

2つ目は、走っているときに後ろから見て、蹴り出した足の裏側が見えているということ。これもダイナミックに走れている証拠です。

これは自分で確認できないので、ランニング仲間にでもチェックしてもらいましょう。一人で練習している人は、スマートフォンの動画撮影機能を活用して確かめる手もあります。

蹴り出した足の裏が見えていない人は、着地時の反作用のエネルギーが上に逃げてしまい、それだけ前方への推進力をロスしている可能性があります。

かかとから着地して拇指球に体重を乗せる
足裏で地面に接するのは、「拇指球」「小指球」「かかと」の3点。着地で大事なのは、足の親指の付け根である拇指球に体重を乗せることです。

流れとしては、かかとのやや外側から着地して、拇指球に体重を乗せてから、小指の付け根である小指球から抜ける意識を持つようにするといいでしょう。

かかとの外側から着地する理由も、そのほうが拇指球に体重を乗せやすいから。カラダの作りからしても、かかとの外側から着地するのが自然です。

脚の付け根にあたる股関節は、カラダの外側にあります。股関節とは、骨盤の両サイドにあるソケットのような凹みに、太ももの骨(大腿骨)の丸みを帯びた先端がハマリ込んだものです。

股関節の構造上、真っすぐ動かしているつもりでも、脚を前に振り出して着地するときには、大腿骨を外側から内側へ回しています。これを「回内(プロネーション)」といいます。

回内が起こる結果、かかとの外側から自然と着地しやすくなるのです。そのため、各スポーツ用品メーカーのランニングシューズも、かかとの外側にクッション材を入れて補強しているモデルが多くなっています。

「かかとのやや外側から着地して、拇指球に体重を乗せてから、小指球から抜ける」と説明しましたが、そう意識しながら走ると結果的に足が真っすぐに入り、真っすぐに抜ける無駄のない着地につながります。

エネルギーロスが少なく、故障もしにくい着地法です。

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