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ピッチ走法で走るのかストライド走行で走るのがよいか


「ピッチ」で走るか「ストライド」で走るか

歩数が多く歩幅が狭い走り方を「ピッチ走法」、逆に歩幅が広く歩数が少ない走り方を「ストライド走法」と称します。どちらのタイプのランナーが多いのでしょうか。

じつはトップアスリートでさえ、千差万別です。かつての名ランナーの瀬古利彦選手のピッチ数は、1分間に200歩を超えていました。世界陸上やオリンピックで活躍した土佐礼子選手もピッチ数が相当多いランナーです。

一方、長身のランナーに多いのがストライド走法で、かつての宗兄弟や中山竹通選手が当てはまります。アテネオリンピックで金メダルを獲得した野口みずき選手もストライド走法の代表でしょう。野口選手の、小柄ながらもダイナミックなフォームはとても印象的です。

一定の距離を走るピッチの数とストライドの輻は、どのように決まるのでしょうか?
以前、いろいろなピッチ数(裹を返せば、ストライドの幅)で走った時に、その経済性はどうなっているのか実験をしたことがあります。

経済性の良し悪しとは、「酸素摂取量が低いほど」経済的に走っていると判断します。

実験の中でわかったことは、人それぞれで効率的なピッチ(とストライド)が存在していること、そして効率的なピッチ(とストライド)はランナー自身が自然に選択している、ということでした。人は誰に言われるでもなく、効率のよいピッチとストライドで走っていたのでした。



ピッチ走法がおすすめのわけは?
箱根駅伝で、かつて優勝したことのある大学のコーチと話をしていたとき、そのチームはストライド走法で走ることを選手に説いている、と話されていました。

クロスカントリー走(最近はトレイルランニングと言われますね)を頻繁に行い、ダイナミックなフォームで走る選手たちは、確かにストライド走法に見えました。

競技として走っているランナーなら、脚筋力をつけ、スピード練習をしてストライド走法で走ることが可能かもしれません。しかし、みなさんには、あえてピッチ走法をおすすめしたいのです。

理由の一つめは、ピッチ走法はストライド走法に比べて脚筋の負担が少ないことがあげられます。ランニング中の脚にかかる負担は、体重の2~2・5倍と言われています。

1歩1歩の負担が少しでも減れば、故障するリスクを抑えることができます。また、レース中に脚の疲労を抑えられるかもしれません。

ウルトラマラソンのランナーは、走速度が遅いこともありますが、歩く延長で走っているように見えます。そのピッチ走法的な走り方も、脚への負担軽減の参考になるはずです。

おすすめしたい理由のもう一つは、ピッチ走法はリズムをとりやすいことにあります。
自転車乗りには、市民ランナーと同じような意味で使われている。ホビーレーサーという言葉があります。

「回転数は一定にしておいて、ギアを変えながら走ると楽だよ」。ランニングに言い換えれば、「ピッチを一定にしておいてストライドを変化させながら走る」とよいことになります。

ランニングの世界で、それは可能なのか?
可能だったのです。
1991年に東京で世界陸上が開催されました。女子マラソンの優勝者は、W パンフィル選手でした。

東京学芸大学の有吉正博先生は、パンフィル選手のピッチとストライドの変化を報告しています。驚いたことに、42kmという長丁場を走ったにも関わらず、パンフィル選手のピッチは他のどの選手よりも一定で、レース中のペースの変化はストライドを変えることによってなされていたのです。

これは、ものすごい。走る技術です。ピッチ走法であるがゆえに、こうした技術も可能になるのです。私たちがこの技術を活かすとしたら、その一つが坂道です。

上り坂では、どうしてもスピードが落ちてしまいます。しかし、速度が遅くなってもピッチを落とさないように走れば、リズムを崩さずにすみます。

下り坂であれば、ストライドが広がり速度が上がります。下り坂でも、ピッチが平地や上り坂と同じであれば、リズムよく下ることができるのです。「適したピッチで走ってみる」まずは、坂道を走ることで実感してみましょう。