目次

スピード強化には効率よいフォームと脳に筋肉の動きを覚えさせる

1.短距離を速く走る3つの要素
スピードのある走りは、筋肉を効率良く動かすことから生まれる。そのためには、いろいろな運動を経験して、走りに必要な柔欺性や敏捷性を身につけておくことが必要だ。

例えば、足の関節が柔軟な人ほど、少ない負荷でより大きな一歩を踏み出せる。また、スポーツ全般に共通する「飛ぶ」「跳ねる」といった運動は、走る際に必要な敏捷性を鍛えることができる。
走っているときに、「前へ前へ」と思うほど力んでしまう人が多いが、力んでも筋肉自体が速く動いてくれるわけではない。かえってカラダが硬くなって、速く走れないのである。

速く走ることができないのは、筋肉を動かすクセがついていないから。決して生まれつき足が遅いのではない。カラダに走るクセを覚えさせれば、誰でも速く走れるようになるのである。

スプリントに必要なのは、フォームとバネと柔軟性
速く走るための要素をあげるとしたら、次の3つがポイントになる。
フォーム、バネ、そして柔軟性だ。
ひとことでフォームと言っても、そこには姿勢とバランスが関係する。

上体や腰の位置を支える「姿勢」と、走っている際の体勢を保つ「バランス」。この2つを支える筋肉は違うので、鍛え方も違ってくる。

姿勢を支えるのは、体幹の大きな筋肉。一方バランスをとるには、足の裏(足底筋)、ヒザ、股関節などの筋肉や腱を鍛える必要がある。

また、足のバネは、着地時に地面からの反発をもらって、次の一歩を蹴り出す重要な役割を果たす。そして、柔軟なカラダは、よりダイナミックな動きを可能にするのと同時に、多少無理な体勢にも対応し、ケガを防ぐ。


①筋バランスのよいフォーム
フォームには姿勢とバランスがある。上体を安定させバランスをとるために、さまざまな筋肉を鍛える必要がある。
姿勢
体幹を中心としたカラダの位置。上体の軸を固定し、ぶれないように体幹を鍛えよう。
バランス
腕振りや足の裏、ヒザ、股関節などが大切

②地面を蹴り出すバネ
着地した足を蹴りだすキックカ。接地時に、地面の反発をもらって加速する。着地した足は、反発により自然にふり上がる。

③怪我を防ぐ柔軟性
特に股関節の柔軟性がポイント。歩幅が大きくなると、より大きな一歩を踏み出せスピードも上がる。また、全身の柔軟性はケガを防ぐためにも重要。


スピード感覚を記憶する神経回路
ハードな運動には、より多くの酸素が必要
脳と筋肉は、脊椎をパイプ役に直結している。運動をするときには、脳から筋肉に指令が出されて手足が動く。

また、脳は筋肉に運動の指令を与えるが、筋肉が動くことで、脳もまた活性化されるという関係にある。この2つをうまく相関させるためには、毎日のトレーニングで脳から筋肉への命令系統を整理し、確立することが必要だ。


2.脳で速い動きを記憶してスピードアップを目指す
速く走るには、カラダを速く動かさなければならない。
そこで、速く走るために、脳から筋肉へ「足を速く回転しろ」という指令が出される必要があるが、普段速く走った経験がなければ、この回路の接続ができない。

長距離だからと、練習でいくら長い距離を走っても、だらだらと走っているだけではスピードはいつまでたってもアップしないのである。

スピードを上げるには、できるだけ速く走る練習をして、スピード感覚を養うことが大切。つまり、足を速く動かすことを繰り返し練習して、脳の神経回路を鍛える必要があるわけだ。

効率のよいフォームを身につけたら、走れる人は、どんどん速く走って脳のスピード感覚を鍛えよう。もちろん、運動をすれば筋肉同様に脳も疲労する。

脳の休養とは、すなわち睡眠をとること。睡眠で脳の疲労を回復することが、クリアな脳をつくり筋肉との連動を高める。これが走りのパフォーマンスのアップにつながる。

スピード強化トレーニング
スピード感覚を養うには、実際に足を速く動かす運動を、繰り返し練習するのが効果的だ。

効率のよいフォームを身につけたら、その動きを速いスピードで実現させるために、走れる人はどんどん速く走る。

ただし、やりすぎは故障の原因になるので逆効果。休養とのバランスをうまくとりながら行うことがポイント。

また、長距離用のトレーニングシューズはクッション性が高く、速く走る運動には不向き。トレーニングでは、力力卜の厚いタイプよりも、走りやすいタイプを使おう。

50m、100mダッシュ
50mや100mなど、短い距離を速く走り、スピード感覚を養おう。トレーニングに速く走る動きを取り入れることで、足を速く回転する動作が身につく。
繰り返すことで、速い動きに対応する脳から筋肉への命令系統を確立する。

下り坂を利用
下り坂を利用することで、スピードが加速されるので、普段、経験できない速さを脳に記憶させることができる。ただし、ヒザを痛めやすいので注意が必要だ。

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