目次

ランナーが陥りがちなダメな走る目標から切り替えて意識を高めよう

1.目標を的確に効率よくトレーニングする
はじめに、トレーニングとは何かを考えてみよう。そもそも、トレーニングの語源は、トレインである。トレインのもっともポピュラーな日本語訳は「列車」だろうが、そのほかに、訓練する、養成する、教育する、練習する、などの意味をもつ言葉だ。そしてさらに、連続、つながり、続きといった意味も表す。「列車」は、いくつもの車輌が連なることからトレインと呼ばれたのだろう。

こうした言葉の成り立ちを考えると、トレーニングと呼ばれる訓練は、継続して行われることを指すといえる。つまり、日々の練習をつなげていくことがトレーニング。ある1日を走ったからといって、完結するものではない。地道に走る日々を一定期間以上続けていくことで身体能力が高まっていくことを忘れてはいけない。

しかし、日々の訓練の積み重ねが重要とわかってはいても、市民ランナーにとっては、トレーニング時間の確保が悩ましいところだろう。仕事との両立が求められる社会人ともなれば、まとまった時間をとることが難しく、練習時間が細切れになってしまうことも少なくない。だからこそ、効率的で効果的なトレーニング方法を知ることが重要となってくるのだ。

たとえば、マラソントレーニングでよく話題になる「月間走行距離」。これは1カ月の間にトータルで何km走ったかを表す総距離数だが、走った距離が同じでも、そのトレーニング内容と組み合わせによって、生み出す効果や結果は大きく異なってくる。ただ漠然と距離を延ばす努力をするだけではなく、目的を明確にもち、そこに到達するための効率と効果を考えて練習すること。それが、サブ4を達成するためのトレーニングに必要なことだといえる。


無計画なトレーニングをしている
気持ちのままに、走りたいように走る。
毎日のトレーニングをそんな風に漠然と続けてはいないだろうか。
トレーニングメニューは長期スパンで考えるもの。

目標とするレースが決まれば、そこから逆算して準備をし、「いま、何をやる時期か」を考えることが必要である。
目標達成のためには、やみくもに練習強度を上げればいいわけではない。トレーニング内容に強弱をつけ、 レース当日に心身のピークが最大限になるように調整する。

一流ランナーの誰もが、この「ピーキング」と呼ばれる方法を実行している。サブ4を実現するにも、ピーキングに基づいたトレーニングメニューの実行が重要だ。

フルマラソンレースにピークを合わせようと考えた場合、準備期間としては最低3カ月は必要だろう。レースの日程は決まっているからそこから1カ月前、2カ月前、3カ月前・・とさかのばり、「いまの時期は何をやるべきか」を決めるようにしよう。大ざっぱに分けると、1カ月目は基礎づくり、2カ月日はサブ4に向けた実戦練習期、そして3カ月目が調整期間だ。

しかし注意しておきたいのが、ランナーそれぞれに生活パターンは異なる。計画を立てても、体調によっては予定どおりに進まないことも多い。計画はあくまで計画。実際の体の状態をつねに優先し、変更するべきときは変更することも必要だ。


ただ走っている
毎日なんとなく走るだけでは、現在の延長線上の走りしかできない。
そして漠然と走る距離を延ばしても、「楽に」走れるようにはなるが、「速く」走ることはできないのだ。フルマラソンを3時間台で完走する力を身につけるために、いくつかの練習法を組み合わせ、メリハリのあるトレーニングを行い、レベルアップを図っていこう。

サブ4を目指すみなさんなら、すでにフルマラソンを走りきる基礎体力は備わっているはずだ。ある程度走り慣れているランナーであれば、おそらく6分/km台のベースでジョギングはできるだろう。

しかし4時間を切り、3時間台のタイムを出すためには、平均して5分40秒/km以上のペースで走り続けなくてはならない。つまりサブ4を実現するには、日常のジョギングに加え、1 kmあたり5分~5分30秒で走るベースのような、より負荷の高いトレーニングをとり入れていく必要があるのだ。

トレーニングにはさまざまな種類があるが、4時間を切ることが目標であれば、ビルドアップ走、ペース走、LSDの3種類を柱に組み立てていくのがいいだろう。

インターバルトレーニングなどのスピード系トレーニングを試してみるのもいいが、本格的にとり入れるのは、サブ3を狙う上級者ランナーになってからでも充分だと、考えている。

また、負荷の高いトレーニングは行うタイミングが重要だ。ダメージを考えると、連続して行うことは避けるべきである。時間をかけながら、トレーニングにメリハリをつけて、レース本番に向けて体調・体力のピークをつくる「ピーキング」を心がけよう。


2.ゆっくり、長くというトレーニングが不足している
フルマラソンを走るなら、必ずとり入れておきたいトレーニングがロング・スロー・ディスタンス、略してLSDだ。
ジョギングよりもゆっくりペースで長時間走り続ける地味なトレーニングだが、マラソンランナーとしての体力をつくるためには非常に高い効果を発揮する。

ゆっくりと長い距離を走るLSDは、有酸素運動能力を高めるトレーニング。42.195kmという距離を目標時間内で走りきるためには、この有酸素運動能力がなくては難しい。

LSDを行うことで毛細血管が増加し、体脂肪が燃焼しやすく、持久力も高まるなど、体にはさまざまな変化が現れる。フルマラソンでは4時間近い時間を走りきるわけだから、長い時間を走り続けるメンタリティを養う意味でも、LSDトレーニングは非常に重要なのだ。

またフルマラソンでは30kmを超えたところで脚がパタリと止まる、いわゆる「30kmの壁」と呼ばれる現象がある。LSDトレーニングが不足していると、こうした失速を招くことになりかねない。

壁の原因はほかにも、オーバーベースで無酸素運動的な走りになり乳酸が溜まること、もしくはエネルギー不足によるグリコーゲンの枯渇、ランニングフォームの崩れや、ナトリウム不足など、いくつもの要因が考えられるが、人によって陥りやすい傾向はそれぞれ異なる。LSDトレーニングを重ねることは、こうした状況への耐性がつくだけでなく、自分の弱点を知り、改善につなげるキッカケにもなるのだ。


正しいジョグができていない
マラソントレーニングの基礎中の基礎といえるのが、ジョギングだ。
会話ができる程度のゆっくりしたスピードで走ることで、ランナーとしての土台をつくるトレーニングである。

あらゆる場面で登場する頻度が高いだけに、正しいジョギングの方法を覚えることは、ランナーにとって必要不可欠なことである。

ジョギングは、ランナーだけではなく、あらゆるスポーツの基礎となる土台練習だ。サブ4を狙うことで、先に述べたような負荷の高いトレーニングをとり入れるようになっても、行う頻度のもっとも高いトレーニングはジョギングである。

ある程度走り慣れているランナーだと、ジョギングのスピードは1kmあたり6分~6分30秒ほどだろう。ゆったりしたペースで走るジョギングを、正しい方法でできているかどうかは、3時間台でフルマラソンを走りきるためにも重要なポイントとなる。なぜなら、頻度が高いトレーニングだけに、体に対するすり込み効果が高いからだ。

たとえば、バランスを崩した姿勢で走り続けていると、その姿勢がクセとして残ってしまう。そして一度ついてしまったクセは、なかなか修復することが難しい。

ジョギングのときこそ、正しい走り方を意識することが大切。日常的に行うジョギングであっても、正しい走り方をするように意識しないと、いざ負荷の高いトレーニングを行うというときに、崩れた走り方になってしまう。基礎練習だからと義務的にやるのではなく、ペースやフォームなど、あらゆることに気を配って、丁寧に走ることを忘れないようにしよう。


ケア、休息が不充分
トレーニングに慣れてくると走ることが楽しくなり、 休息もとらずにどんどん走りたくなることがある。
しかし、トレーニングのしすぎはオーバートレーニングを招き、体の回復力を損ねてしまう。

それを防ぐには必要な休息はしっかりととること。そして故障を防ぐためにも、トレーニングの前後にはじっかりとしたケアを行うようにしよう。


繰り返しになるが、 トレーニングは継続して行うものであり、重要なのは量だけではなく質である。負荷の高い練習を行うと、それが刺激となり、体が以前より強くなろうとする反応を「超回復」と呼ぶ。超回復は、休養があってはじめてできるもの。オーバートレーニングに気をつけ、練習の合間には適度な間隔で休養をはさむことが重要である。負荷の高いトレーニングを連続してやることをおすすめしないのは、こういう理由がある。

また近年は、手軽に距離や速度を計測できるGPSウォッチや、ランニングアプリなどの普及もあり、自身のトレーニング管理がしやすくなった。
しかしそのいっぽうで、数値として見えやすい走行距離を延ばすことばかりに夢中になる人が見受けられる。こうした記録はたしかに励みになるが、数値を上げたいばかりに、脚の違和感を無視して走ったりするのでは本末転倒だ。

何ごとも「過ぎ足るは及ばざるがごとし」。どんなに厳しい練習を積んでも、ベストコンディションでスタートラインに立てなければ、意味がない。最高の状態で本番を迎え、サブ4を実現するには、 しっかりした休息とボディケアが重要だ。


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