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ランナーに多いひざ関節の痛みの原因と予防方法

膝が弱いのには理由がある 1.なぜひざがもっとも痛めやすいのでしょうか?
人の骨格は、約200個の骨から構成されています。

その骨と骨との間にあるのが関節ですが、関節というのは、骨同士の接触の衝撃や摩擦をやわらげるために、関節軟骨に覆われています。

硬い骨と違って、軟骨は文字通り軟らかい骨ですから、レントゲン写真には写りません。

ひざのレントゲン写真を撮ったときに、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)との間で、隙間となって見える部分が、この軟骨に相当します。

健康な若年者であれば、大腿骨側に4、5ミリ、脛骨側に405ミリ、軟骨に覆われている部分がありますので、8~10mmの隙間になって見えるのが、健康的なひざのレントゲン写真ということになります。

この関節軟骨がすり減ってしまい、関節に痛みや腫れを起こす状態を、「変形性膝関節症」と言います。「変形性」とは、はやい話が「老化による」ということです。

軟骨が徐々にすり減ってくるので、レントゲン写真を撮ると、隙間が狭くなっているのが分かります。日本人はO脚が多いため、ひざの内側の隙間が狭いのが特徴です。

多くの関節の中で、ひざはもっとも傷めやすいところです。その理由として、何十キロもの体重を支える下半身の関節であることがまず挙げられます。

足首、ひざ、股関節、すべて下半身の関節であり、体重を支える、荷重がかかる、「荷重関節」と呼ばれるものです。

ヒジもひざと同じような構造ですが、常に体重を支えているわけではないので、野球選手や柔道選手などのように、よほどヒジを多用するような人でない限り、老化が進行するということはなかなかありません。

荷重関節の中でも、とくにひざ関節の老化が進行しやすいことには、構造的な理由が拳げられます。足首の関節や股関節は、骨と骨とのカーブが一致していて、キッチリとはまり込むような構造で、体重を関節面の全体で受けとめる格好になっています。

ところがひざの場合、脛骨の方が曲率半径が長くゆるやかなカーブを描いているのに対して、大腿骨は曲率半径が短く、急なカーブを描いています。異なるカーブが向かい合っていますから、ひざの場合は、接点がとても小さいのです。


2.ランナーに多いひざの痛みはこうすれば防げる
靭帯が引っ張られたりこすれたりして痛みが出る
ランニングによって最も痛めやすい部位はひざだ。ただ、ひざの痛みといっても、痛む部位によって原因は異なっている。

お皿の下が痛む
ひざのお皿の下側にある靭帯が炎症を起こす「膝蓋靭帯炎」が考えられる。着地のショックを吸収するときに引っ張られるため、それが繰り返されることで炎症が起きる。

お皿の上側についている大腿四頭筋を強化したり柔軟性を高めたりすること、クッション性のいいシューズをはくことが予防に役立つ。

ひざの外側が痛む
ひざの外側を通っている靭帯が炎症を起こす「腸脛靭帯炎」が考えられる。ひざを曲げ伸ばしするときに、骨の出っ張りと靭帯がこすれるのが原因。O脚の人ほどなりやすい。腸脛靭帯のストレッチングを行い、安定性のいいシューズをはくことが予防に役立つ。

この2つがランナーに起こりやすい代表的なひざの故障。日ごろから予防策を構じておくといいだろう。

足の外側のストレッチング
体を傾ける。後ろ側の脚のひざ外側がストレッチされる。
腸脛靭帯炎の予防に効果的。腸脛靭帯に柔軟性を持たせることで、骨に押しつけられる力を弱めることができる。

大腿四頭筋を強化すれば、筋肉で衝撃を吸収し、靭帯への負担を減らせる。とくに膝蓋靭帯炎の予防に効果的。
両脚を開き、両手を頭の後ろでつなぐ。

大腿部前面のストレッチング
膝蓋靭帯炎の予防に効果的。大腿四頭筋に柔軟性を持たせることで、膝蓋靭帯に加わるストレスを軽減できる。
両脚を開き、両手を頭の後ろでつなぐ。


上体を立てたまま、腰を下げていく。その姿勢から立ち上がる。


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