目次

目標設定を明確にすることでスポーツで全力を発揮できる

1.自分の課題を明確にするトレーニング
スポーツ選手にとっても大切なのが、目標の設定と、その目標に到達するための課題の明確化である。目標は長期、中期、短期、今日という具合に、段階的に設定することが大切だ。

理想をいえば、中長期、中短期も設定するのがいいだろう。ただし、短期の目標はいまの自分の実力の120%におく必要がある。「ちょっとむずかしいけど、努力すれば何とかなるかも」というラインが、人間のモチベーションを最大に高めるからだ。

また、目標にはかならず日付を入れることも忘れてはならない。 スポーツ選手は目標とする試合までの日数の中で、段階的な技術向上を行なっていく必要がある。

限られた日数の中で「○月までには~まで達成するようにして、次の○月までにはここまで」という具合に、日数と技術レベルの設定をしていくことで、その技術レベルに達するために今日は何をすべきかという課題が明確になっていくのだ。

2.目標設定は現時点の実力の二割増しで
目標設定は高すぎてもいけないが、低すぎてもいけない。また、達成のための具体的な方法や手段が明確でないものは実現の可能性が低く、成果を残せない。そうなると、達成感を味わえないどころか、自分への自信やものごとに取り組む意欲さえ奪い去ってしまうことになる。

だからといって、たやすく実現できる目標がよいのかというとそうではない。 昨今では、従業員一人ひとりに目標を設定させ、その実績を重視した業績評価をするところが増えている。

導入当初は、誰でも目標を低く設定しがちだ。そうすれば容易に目標を達成できるので、同僚の前で恥をかくことはないし、満足感も得られる。もちろん、賞与や給料にも反映されるので生活面でも安定する。こう考えるのも無理はない。

仮に、あなたが立てた低い目標に対して、実績がそれを150%上回ったとしよう。もちろん努力があったことは認めてはもらえるだろうが、それ以上に現状認識が甘いというマイナスの評価が待っていることにもなる。

また、もともとの実力からは大きくかけ離れているのだから、意識しないうちに仕事を軽視し、考えられないような初歩的なミスを誘引しかねない。 希望は大きく高く描いてよいが、そこへ向かうための目標は、常に現時点での実力に二割程度を上乗せしたもの、つまり届くか届かないかのラインが望ましいだろう。


3.目標設定をするためのトレーニング
スポーツの試合を観戦していると、「なぜあれほどの強豪選手が、格下の選手に負けてしまったのだろう」という、大番狂わせのシーンを目にすることが多々ある。

大番狂わせの理由の一つに、自分よりも対戦相手の実力が上だったから、邪念なく思い切って勝負にいけたことがあげられる。

たとえば、短距離走のタイムを測定するときに、併走する相手が遅い場合と速い場合とでは、後者のほうがタイムが縮まることはよくある。これを一般にラビットと呼ぶが、速いといっても自分とあまりにも実力差がありすぎては、両者の差はどんどん開き、途中であきらめの気持ちが生じてしまう。

しかし、自分よりも実力的にやや上の相手と走ることで、走りながら「あと一踏ん張りすれば追いつけるかも」という気持ちが持続でき、それによって結果的に、タイムも短縮されるということなのだ。

つまり、現時点での自分の実力を見極め、届くか届かないかのところに目標を設定することが、自分の実力を向上させるトレーニングとして最適なのだ。


4.自分よりも少し先を行く人間が真のライバルである
ライバルとは、自分と同じような条件を持ち、しかも自分よりも少し先を走っている人間のことだと表現する。つまり、国籍が違い、体格も日本人よりも優れている選手というのは本当のライバルにはなり得ないという。

それは自分の心のどこかに「あの体格の優位さにはかなわない」という、いいわけに似た思いが生じるからだ。しかし、同じ日本人であれば、条件も同じ。

「日本人でも世界の舞台であそこまで行けるんだ」という目標があれば、自分の努力次第で少なくてもそこまでは行ける、という強いモチベーションにつながっていくのだ。このように少し先に目標があるというのが、ビジネスマン同様、スポーツ選手にも必要なのだ。


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