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フルマラソンを5時間~6時間で完走を目指すトレーニング方法

フルマラソンを5〜6時間で完走を目指すためにはとにかく長く長時間走れる能力を身につけることが必要になります。
それは精神的にも肉体的にも鍛える必要があります。
完走するためにはどのようなトレーニングをすれば良いのか考えていきたいと思います。

1.5時間台はトレーニングにも自分の走りにも計画性を持つこと
歩き、または休んでストレッチングなどを交じえたフルマラソン完走の走り方だったが、この歩き、または休んでいる時間を短くし、ゆっくりでもジョギングに切り替えることができれば、タイムを短縮していくことができる。

この、ペースの谷間の底上げをしてペースをできるだけ平均化させることがフルマラソン5時間台のテーマだ。長い距離を走れるかどうかは、自分自身をコントロールする能力で決まる

つまり、ペースをコントロールする力を身につけることがこれからのフルマラソン完走の鍵になる。5時間台の達成には、目標を定めた計画的なトレーニングを始めたい。

トレーニングを構成するものは、
①ペースラン=目標とするペースのリズムを獲得する。
②ビルドアップラン=長い距離を走るためのペース配分を知る。
③LSD=全身の持久力を高めていく。

この3つが柱になる。

自分に適した走り方を見つけていこう。


2.マイペースでゆっくり長く、自分に合ったLSDを考える
LSDとは、Long Slow Distanceの略。その名のとおり、長く、ゆっくり、距離を踏むことで、長距離の基礎を築くためには効果的なトレーニング法である。初心者でもベテランでも、ランナーにとっては大切な練習のひとつ。

LSDの効果はいろいろある。全身の持久力を高め、ゆっくり、長く走ることでムダな動きがなくなり、フォームづくりにも役立つ。また、調整力が身につき、自分のコンディションも整えやすい。さらに、爽快感や充実感が生まれる、という心理的な面も大きい。

最初は1時間くらいを目安に始めてみよう。スピードは気にせずに、マイペースでジョギングすること。重要なのはリズミカルに体を動かし続け、自分の体の状態をよく観察しながら、時間を延ばしていくこと。

1時間が楽に走れるようになったら次は1時間半、さらに2時間といった具合にペースを上げずに走る時間を延ばす。LSDは距離よりも時間で考えたほうがよい。距離だと、どうしても長さをかせぎたくなり、そのため、つい速く走りがちになるからだ。しかし、ここでは時間もそれ程気にせずに、走り終えて45分だった、1時間だったというくらいにしたい。そのほうが気楽に距離を延ばしていけるだろう。

LSDはできるだけ長い時間走るのが目的。ゆっくり、歩幅は小さく、リズミカルに走ることを心がけよう。ジョギングで散歩する、といった気持ちで。そして、余裕を残した状態でトレーニングを終えよう。



3. 5時間台を目指してペースを上げる、
未知のペースに慣れることが目的

練習のメインは1km 7分30秒のペースランのトレーニング。いきなり7分30秒ヘペースを上げるのではなく、1km10分から8分30秒、そして7分30秒へと段階を踏んでペースを上げていこう。8分30秒までは、今まで行なってきたペースだが、おろそかにしないで各段階のペースをきちんと守り、7分30秒未知のペースにチャレンジしたい。

距離も体調に合わせて最初は3 kmぐらいから始め、少しずつ延ばして5 kmを目安にしよう。各段階でのペースコントロールが、これからより長い距離を走るための手がかりになる。

このトレーニングは、スピードを上げたり、距離を延ばしたりすることでなく、各段階のペースを体験しながらリズム、ピッチ、腕の振り、ストライドなどがどのように変わるのか、その違いを体で覚えることにある。ペースコントロールはフルマラソンヘの適応力を高めるものだと思って頑張ろう。



4.休養も含めたトレーニング・サイクルを考える
トレーニングを続けてきて、コンディションが毎日変わっていくことに、すでに気がついているだろう。休養の翌日は走る感覚が少し違っていたり、強い運動の翌日は体にねばりが思ったほどなかったりする。 トレーニングや一日の過ごし方が翌日のコンディションに影響している。 トレーニングは、ただ追い込むだけでは効果は上がらない。

トレーニングは、一定のサイクルの中でピークをつくりながら繰り返すのが原則だ。軽く体調を整える日があってこそ、翌日の強い運動がスムーズにこなせるし、力も思いどおり発揮することができる

そして、強い運動の翌日は少なからずその反動があるもので、気持ちとは裏腹に体にねばりがなくなっている。コンスタントにトレーニングを続けていくためには、その日も体を動かすこと。軽い運動で体調を整えて、次へつなぐためにコンディションを上げながら終わりたい。

休養は体調維持に欠かせない。 トレーニングには強弱が必要だ。同時に休養を取ることがトレーニングにリズムをつくり出す。ストレッチングなどで体の手入れをしながら、じっくりと自分の体調を確認していこう。

トレーニングを休んでしまったときは、次の日は軽い運動で体調を整えるところからやり直すように。
いきなり強い運動はしないこと。
紹介するメニューはすべてコンディションを考えたサイクルになっている。


5.季節を感じながら、フォーシーズン・ジョグ
春はウォームアップの季節

ジョギングの魅力のひとつは一年を通して楽しめること。春は暖かく、気持ちもゆったりできる季節で体調も上げやすい。

こういう時季にジョギングを始めるのもよいだろう。すでにトレーニングを続けてきた人は、冬の寒さから解放されてコンディションもよくなっているはずだ。また、春は冬に比べてより長い時間、体を動かしやすい。

トレーニングも時間と距離を徐々に増やし、夏に向けてのウォームアップの期間としたい。だが、春は落とし穴も多い。例えば風邪、季節の変わりめは体調のバランスが崩れやすい。特にこの時季は暖かくなり、日中が長くなるので、由断しがちだ。

また、思いのほか直射日光も強い。天気がよいからといって、素肌を日光に長時間さらすのは体によくない。こうした点に気をつけて、この季節の心地よさを満喫しよう。緑豊かな公園や林間、河川敷、あるいは花見をしながら走るのも最高だ。

近くに緑の場所がなければ自転車や電車に乗って出かければよい。それこそ、遠足の気分でテクテク歩いていくのもよい。 トレーニングにこうした付加価値を見つけていこう。
緑の中で、ゆっくり、のんびり、長い距離を体がどのように変化するのかを確かめながら走ってみよう。



6.夏のジョグは体調維持に気をつける
たっぷり汗をかいて気分一新

夏は暑さとのたたかい。気をつけることは多い。
まず、直射日光と日焼け。帽子ぐらいは着用したい。ウェアはランニングシャツ、Tシャツ、ランニングパンツが基本。ナイロンの素材は吸収性は悪いが乾きが速く、汗を早く表に出してくれる。綿は吸収性はよいが乾きは遅い。その日の天候によって使い分けることができればベストだ。

次に大切なのが水分の充分な補給。体調の維持が難しい時季だけに、これは特に注意しよう。ジョギング中に発汗する水分の量は、走る前にとっておくのがよい。もちろん、走っている間に水を飲んでもかまわない。

そして、走った後は、水分とビタミン、ミネラル、塩分などを補給しよう。体が落ち着いたら、オレンジジュースや果物をとるとよい。トレーニングは、都合のよい時間を選んで、朝夕の涼しい時間帯に分けて走るのがよい。

ただし、朝は体がまだ目覚めていないのでペースは落とすようにし、ウォームアップは充分に行なうこと。そしてメインのトレーニングは1日の後半でするように。暑いからといって、クーラーの効いた家の中でごろごろ過ごすのはいただけない。 1日1回は外で汗をかくようにしよう。昼休みに外に出て、軽いストレッチや体操で軽く汗を流そう。

また、夏はどうしても食欲が減退しがち。だからといって、めん類などばかりを食べていると、夏バテしてしまう。栄養に気をつけてバランスのとれた食生活を心がけよう。


7.秋から冬はレースの季節
気温、気候の変化に気を配る

秋はジョガーにとって最高の季節。初心者もベテランも、もっとも距離が踏めるシーズンだ。だが、残暑の厳しい日はほとんど真夏と同じ。トレーニングの前のコンディションづくりには充分気をつけておきたい。

さわやかな10月は走り込みには最適だ。いつもの月よりずっとコンスタントに走りやすく、結果として距離も延ばしやすい。ただし、いくら気持ちよく走れると感じても、オーバートレーニングは常に禁物ということを忘れないように。

11月に入ると気候はどんどん変化する。一日の寒暖の変化には気をつけよう。風の強いときや肌寒く感じるようになったときはすぐにウインドブレーカーを着用するなど、ウェアを工夫して保温に気をつけよう。

また、トレーニング後はすぐに汗を取り、体を冷やさないように。冬のトレーニングは、ウォームアップを長めにとること。長い距離は走りにくいシーズンなので、距離は短めに。テンポよく始めてテンポよく終了するように。体が冷えたままスピードを上げると故障を起こしやすいので、この点にも充分に気をつけたい。朝の練習はアップのつもりで軽めに終わらせる。

また、レースは冬に行なわれることが多く、ここぞとばかりにはしごをする人もたくさんいる。レースを楽しむのはおおいに結構だが、その後の体の手入れは念入りにしよう。とにかくふだんからコンディションには気をつける時季だということを忘れずに。それはまた、春を迎える準備でもある。


8.フォームチェック 前傾している人
背すじを伸ばして、着地をスムーズに。
絶対にこれが正しいというフォームはないが、「そこを直せばもっとよくなるのに」というフォームに出会うことはある。フォームには体格の特徴や動作のクセなどが自然と現れてくるが、それらを意識してチェックすれば自分でよりよいフォームに直すことができる。

ジョギングフォームが前傾し過ぎるのは、走る気持ちが先行してしまっている人に多い。上半身が前傾し過ぎていると、足が後ろに流れるばかりでスムーズに前へ運べなくなってしまう。

つま先着地になりやすく、足や腰にムダな負担をかけてしまう。
いたずらにスピードを上げようとすると、こういった姿勢になる。
前傾している人は、まず上体を起こしてジョギング中も背すじを真っすぐ伸ばすことに注意しよう。

スキップやクロスウォークなどの補助運動以外に、中腰ウォークや片足もも上げなどを毎日のトレーニングに取り入れたい。視線はいつも水平方向に向いているようこころがけよう。


フォームチェック・腰が落ちている人
腰を伸ばし、ひざから下をリラックスさせる。
悪いフォームというよりどこか気になるフォームがある。それは走り方のどこかに必ずといっていいほどムリ、ムダ、ムラがあるものだ。

腰を引いたり落としたりするとラクに足が運べそうな気がするが、それは錯覚だ。かかとからの着地はできていても、総体的に足首の使い方が硬く、着地での足首や足全体のショックをやわらげることができないでいる場合が多い。

こういう人は歩幅も狭く、スピードに乗れないばかりでなく故障も起こしやすい。 トレーニングでは上半身と下半身のバランスをよくするために、前後開脚や片足もも上げなどをスキップやウォーキングに組み合わせて行なうとよい。ひざから下をリラックスさせて、着地のときに上体がきちんと腰の上に乗ること、キックのときにひざがきちんと伸びていることを確認しよう。


フォームチェック・後傾している人
一歩、一歩の重心の位置を前に。
フォームが後傾している人は、振り出した足に上体がついていかないため、頑張っている割には効率が悪い。このままだと着地やキックがスムーズにいかず、スピードに乗りにくい。上体を垂直にすることを覚えるために、振り出した足に上体が乗るように心がけながら、片足けんけん、足踏み、中腰ウォークなどをトレーニングに組み入れたい。

片足けんけんで、バランスを崩すようだったら、振り出した足に上体が乗っていないという証拠。けんけんの歩幅を小さくするなどして確実に上体が乗るように練習しよう。中腰ウォークも同様だ。踏み出した足に、腰がしっかりと乗るように心がけよう。


フォームチェック・内股、外股の人
腰を使って、振り出す足を一直線上に集める。
一般的に、内股・外股でそのまま走っていると故障しやすい傾向がある。そうした人は、スピードや距離を調整しながら運動量を徐々に増やしていくなど、 トレーニングのバランスに気をつけたい。

また、このタイプの人は腰のなめらかな動きが少ないので、クロスウォークなどの補助運動を重点的に、一直線ウォークや、内股の人は外股歩き、外股の人は内股歩きなどを加えて、ジョギングの走る感覚を獲得したい。

また、トレーニング前にひざの屈伸やひざ回しなどでひざ関節を柔らかくしておくと、故障の発生は少なくなる。こういった点を意識しながら、次のような運動を組み合わせてトレーニングしよう。



9.ビルドアップランで目指すペースを獲得
ペース感覚をつかむ。
ビルドアップとは、全体の距離をいくつかに分けて、段階的に少しずつペースアップしていくトレーニングのことで、いくつかの利点がある。

まず体調まかせのトレーニングを卒業して、ペースをコントロールする能力を身につけ、結果として長い距離を踏むことができる。また、目標とするペースに到達するのにムリがなく、未知のスピードを獲得するにも体力的に負担が少ない。

まず最初のビルドアップ(A)はトップペースを1km 7分、距離は10kmの設定にした。今まで積み上げてきた走力でこなしていけるだろう。最初はペースの上げ下げに慣れること。一定の距離をペースコントロールすることに意味があるので、決めた距離、ペースは守ろう。

最初の展開は次のようになる。
①出だしの1kmは、アップのつもりで1km 8分のペース。
②次の2kmは、少しペースアップして1km 7分30秒に。コンディションを上げながらそのペースを守る。
③ トップの4 kmは1km 7分で。そのペースと距離を維持する。
呼吸やリズムに乱れがないことを確認したい。きついと思うときは、ここの距離を短くして自分の走りに乱れのない、余裕のある範囲で行なう。
④次の2kmはペースダウンして、1km 7分30秒のペースに戻る。ペースダウンしてもきちんとペースコントロールすること。ペースを上げていくときの7分30秒と、下げていくときの7分30では走っていて感じ方が違ってくる。その違いをきちんと体験しておきたい。
⑤最後の1kmはトレーニングのクールダウン代わりに、1km8分のペースでリラックスして走る


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