ランニング後は筋肉や関節をアイシングとストレッチングでケア
ランニング練習の後は、使った部位のストレッチングをするようにしましょう。これはランニングすること以上に大事なことで、筋肉の修復と筋疲労解消が目的である。厳密にいうと、ランニング直後には使った部位をアイシングして冷却、その後、ストレッチングして入浴、そしてマッサージ、という手順がよいが、市民ランナーの場合、そこまでの手入れは現実としてはなかなか難しい。したがってここでは自分1人でできる方法を紹介しておく。
1.アイシング
アイシングは文字どおり患部を冷却することで、疲労が溜まってきた場合などの練習後に気になる患部を冷やせばよい。
方法は、コンビニで売っているクラッシュアイス(ビニール袋入り)を入手して、直接冷やしたい部位にあてがう。アイシングするときのポイントは、最低10分以上患部を冷やすことである。
氷は冷たいので、直接患部にあてがうと、はじめの2~3分は痛くて離したくなるが、やがて感覚がなくなり、痛さは感じなくなる。冷却効果はここから始まる。筋肉痛や朝帯痛は炎症を起こしているわけだからこの炎症を鎮めるには患部の冷却が効果的なのである。
2.ストレッチング
ストレッチングは運動で硬化した筋肉の血液循環を良化させて修復するための筋肉改善方法である。使用後の筋肉や関節を柔軟にすることで、血行を促進させるだけでなく、心身のリラックス効果もある。
走る前のウォーミングアップは、筋肉の温度を上げ関節を動かしてほぐす動的ストレッチが主ですが、ランニング後は筋肉を伸ばしてリラックスさせるための静的ストレッチを行いましょう。運動後は疲労物質が出て筋肉が硬くなっています。ゆっくりじっくり伸ばすことで筋肉をやわらげ血流を良くしてカラダを休めることが目的です。
必ず呼吸をしながら行ってください。呼吸を止めずに自然な状態で、筋肉を伸ばすときに息を吐くのがポイントです。そして、伸ばすときはその部位がちゃんと伸びているかを意識します。決して反動はつけないように。反動をつけてしまうと筋肉や腱を痛める原因となります。筋肉に程良い緊張を感じたところで止め、そのままキープしましょう。
ポイントは、ゆっくり筋肉を伸ばしながら、痛くない程度のところ(気持ちいいと感じるぐうい)で止めて、呼吸をしながら、1エクササイズを20秒ぐらいかけて行っていきます。左右が必要な場所は両方を行い、とくに筋肉が張っているなと感じる場所は、時間をかけて入念に行っていきましょう。
1エクササイズが30秒程度なので、5分あれば6~10種類ぐらいのストレッチができるはずです。 また、ストレッチは運動前だけではなく、運動後も効果的です。なぜならストレッチには、運動によって筋肉に溜まった疲労物質を取り除く効果があるからです。
ランニング後に、静的ストレッチに加えてアイシングやセルフマッサージを組み合わせると、より疲労が取れて次の日の体調も良く快適な生活を送れます。
ストレッチングは1ポーズ30秒を目安に行なうこと。運動後のストレッチングは、上半身(体側/肩/上腕)から始め、下半身(大腿部・内転筋・ふくらはぎ)、股関節、起立筋、臀筋を基本に行なう。
①アキレス腱
反動をつけずにゆっくり伸ばす
ランニングで良く使う下半身の裏側、ふくらはぎとアキレス腱を伸ばしましょう。伸ばすときは反動をつけないように。
痛いと感じる手前で止めて30秒程度を目安に行います。
両手と両足を地面に着けた姿勢から、片方の足を反対側の足の力力卜に乗せます。そのままアキレス腱を伸ばします。
②肩入れ
太ももの内側と、お腹の側面の筋肉をほぐします。息を吐きながら肩を内側に入れていきます。交互に。
③伸脚
股から太ももの内側にかけて筋肉を伸ばしていきます。
はじめは浅く、徐々に深く腰を落としてさらに伸ばします。
④脚のつけ根
太もも全体を伸ばします。
体重を前にのせる感じで30秒伸ばします。
⑤前屈
足を交差させてから両手を伸ばし
ゆっくり上体を前に倒していきます。
伸ばしているのは後ろ足の裏側の筋肉です。
できるだけ背中を伸ばすように前に倒しましょう。伸ばして痛くなる前で止めて30秒キープします。
⑥太もも・すね
太もも前面からすねにかけて伸ばしていきます。十分に伸びきったところで保ちます。壁や木で体を支えると楽にできます。
太もも前側
カカトをお尻につけて
太もも前側を伸ばす
下半身の大きな筋肉である太ももの前側のストレッチ。カカトをお尻にまでつけるのでバランスを崩さないよう注意して行いましょう。左右両方、片側30秒が目安です。
立った姿勢から片足を曲げて、その足の甲をつかみます。お尻まで引きつけて30秒キープします。
力力卜をお尻までつけて太ももの前側をしっかり伸ばしましょう。姿勢が崩れないようバランスを保ちます。
太もも後側
交差した後ろ足側を良く伸ばす
太もも裏側のハムストリングスは肉離れなどのケガをしやすい部位ですので、ランニング後はしっかり伸ばしておきましょう。交差した後ろ足側を伸ばしていきます。
⑦おしり
座って行う
お尻のストレッチ
床に座った状態で行うお尻の筋肉を伸ばすストレッチです。
お尻部分に意識を集中してしっかり伸ばしましょう。
両手をカラダの後ろに着いてヒザを立てる姿勢になります。片側の足を逆の足のヒザに乗せてお尻の筋肉を伸ばします。
⑧もも
太ももの前面を伸ばします。ゆっくりと上体をそらして、仰向けになった状態で30秒保ちます。
⑨うちもも
股関節をほぐします。足の裏を合わせて、十分に広げます。
ひじで脚を押さえて伸ばしてください。
⑩腰
カラダをツイストさせ腰まわりを伸ばす
寝ながら腰まわりを伸ばし反対方向へしよう。下半身と上半身を逆にひねる(ツイスト)ことで、腰を中心とした全身がしっかり伸びます。
仰向けになり片足を反対側の足の外側に運びます。ヒザを軽く曲げお尻を上げていき腰をひねりながら伸ばします。
顔は反対側を向きましょう。
⑪背中
背筋をほぐすための部屋ストレッチ
ランニングフォームの維持で緊張している背筋をほぐす
ためのストレッチです。部屋でのんびり行い、しっかり疲労を取り除いてください。
両手を着きヒザ立ちの四つんばいの姿勢になります。このとき呼吸を止めないようにします。
息を吐きながらおへそをのぞき込むように背中を丸めます。肩甲骨を中心とした背中を伸ばしましょう。
3.疲労回復について
初心者が陥りやすいことにやりすぎからくる故障がある。疲れもそれほど感じない、筋肉痛もない、身体が温まるとスムーズに走れる、いちばん気持ちがよい時期だ。しかし、動かした筋肉は必ず何らかの疲労が残る。この疲労を解消しておかないと筋肉は次第に硬化し、筋も硬化してくる。
この疲労の蓄積を放っておくと膝まわりの靭帯の炎症やアキレス腱の炎症、細かな筋肉の断裂などを起こしかねない。
したがって、使ったあとは手入れする、ということを念頭に入れておいてほしい。
市民ランナーの場合、練習前の準備運動よりも練習後、つまり使った後の手入れに重点を置くことである。
ランニングは全身運動だが、特に使われるところ(部位)は心臓・肺臓・胃腸といった内臓器官のほかに筋肉。筋・関節といった動きに直結した器官。部位である。
これらの部位はランニングというスポーツをしていて、初心者でも実感、自覚できると身体は運動しはじめると、運動するために必要な器官が一斉に活動しはじめる。器官が動きだすと体内の血液はその器官が円滑に働くように集まる。
とくに筋肉にはどんどん血が集まってくる。なぜかというと、運動は関節と筋肉の連動した作業だから、動く筋肉の細かな繊維が運動につれて破壊されるので、この破壊された繊維を修復するべく、集まってくるのだ。
これは関節周囲の筋や靱帯、関節を守っている膜なども同様だ。
程度の差はあっても日常生活の中でも運動レベルの低い同じ動きが行なわれているが、ランニングなどの運動では、このレベルが格段と高い状態で行なわれている。体内での血液による修復作業も運動レベルに比例して行なわれていると理解していてほしい。
運動をした後、身体をそのままにしておくと、修復作業にあたっていた血液も集中した部位にそのまま滞留してしまう。滞留したままに放置しておくと、そこがうっ血状態になるから、張りや腫れが残ることになる。これが筋肉痛である。
したがって、運動直後は使った部位を一旦はよく冷やし(アイシング)、その後はマッサージなどによって血行を促すことが故障予防には欠かせない。
走ったあと、身体の整理としてストレッチングをするが、これは使った部位への血行促進のための行為、と理解することだ。アイシングやストレッチング・マッサージなどを入念にすればするほど故障予防につながってくるから面倒くさがらず、丁寧に行なうことが無事なランニングには欠かせない。
疲労回復のもうひとつの方法が入浴である。長い時間運動すると実は体温が下がってくることをご存じだろうか。運動強度といって身体の動かし方(動かす強さ)と身体の能力がうまく合ってくると心拍数も安定してくる。
すると、筋肉運動と呼吸/血液を送りだす心臓の動きが見合って、むしろ筋肉運動だけが継続されることになってくる。
体温の上昇は外気温や湿度によって左右されるが、大きな要素は運動強度によるものである。
ランニングのスピードが自分の体力に合ってくると体温上昇はあるところで止まる。その後は筋肉運動が身体を支配することになるので体温安定となってしまうのである。
ランニングするときは、この体温調整のために一定間隔で給水作業を行なう。速度を一定に保てている間は給水/発汗で調整ができるが、疲労によってスピード(運動強度)が落ちてくると運動量より給水が上回ったり、外気温とのバランスによって体温は次第に下がってくる。たいていの場合、ランニングやストレッチングしている間に体温はさらに下がってくる。
したがって運動終了後は適温(38~42度)で20分程度の入浴をすすめる。入浴は下がった体温を再び上げ、血行を促進する作用がある。先に述べたとおり、使った部位の修復には血液循環促進が挙げられることでもおわかりだろう。
入浴は低温でゆっくり入ることがポイント。
また、入浴中にマッサージやアイシングを一緒に行なうとさらに効果的だ。手の届く範囲でふくらはぎや大腿部、足指や足裏など、ランニングで使った部位を丹念に押圧したりゆっくり摩ったりするマッサージを施すだけでも十分効果がある。
特に、練習後張りを感じた部分には、
シャワーノズルでアイシング→マッサージ→お湯掛けをそれぞれ20~30秒間すると疲労はさらに抜けやすい。このように練習後の入浴は疲労回復にも大変効果的なことを知っておいていただきたい。
この記事を見た人は、下記にも注目しています!