スポーツ脳の力を高めて集中力と持久力を向上させよう!
1.スポーツ脳の力を見落としがちスポーツでよりよいパフォーマンスを実現させようとするとき、多くのアスリートは筋肉量を増やす、柔軟性を高めるといった、肉体の能力だけに焦点を当てています。当然の行為なのですが…
しかし、スポーツにおける基本的な技量を高めようとする場合、そして肉体の機能を高めたいと望む場合も、最も重視しなければならないのは"脳の力を高める"ということなのです。
意外と見落としがちなのですが、なぜならスポーツで必要とされる能力は、すべて脳によって制御されているからに他なりません。
①集中力
対戦型の球技などで、球の行方を絶対に見失わないように追い続ける集中力、自分の周囲360度の気配をつねに察知する全方位への集中力、打撃の瞬間や格闘技で相手を攻撃する瞬間のように、力を発揮するインパクトの瞬間における集中力と、スポーツにはさまざまな集中力が同時に求められます。
しかも、ゲーム中は精神面、肉体面ともに過酷な状況に置かれるため、そのなかで集中力を維持するためには、脳に対する特別なトレーニングが当然必要となってくるのです。脳のスタミナ力、ストレス耐性、意識制御力などが課題となってきます。
②持久力
持久力といえば、筋持久力といった肉体的な能力を想像してしまいがちですが、実は勝敗の要となるのは"精神的な持久力"だといえます。
精神的な持久力を強化するためには、脳への酸素供給効率を高い状態で安定させるトレーニングが必要となります。もちろん、脳内における血液循環力の向上や、血液そのものの質を高めることも重要な課題のひとつです。
その他にもスポーツ脳と関連する要素はたくさんありますが、この2つは特に重要な要素なので覚えてトレーニングしましょう!
2.スポーツ脳のメカニズムと小脳の役割
大脳の下に位置している小脳には、平衡感覚の中枢としての働きや動作をするために必要な距離の把握や力の加減を調整する働きなどがあります。さらに、運動技術をプログラム化して記憶する役割もあると考えられています。 小脳と大脳の間には重要な情報伝達の回路があります。この回路における情報伝達の速度を高めることが、スポーツ脳を鍛えるためのテーマのひとつなのです。
脳と運動のメカニズムとは 大脳と小脳をつなぐ情報伝達回路がスポーツ脳と深い関わりがあることに触れましたが、ここではその回路についてもう少し深く説明していきます。
大脳の一番表面にある大脳皮質は、その働きによって「運動野」「感覚野」「連合野」に分けられています。運動野とは自分の意志による運動(随意運動)の指令を肉体の各部位へと送っている場所です。
感覚野とは感覚情報を認識する場所で、触覚や痛覚、圧覚、温度などを認識する「体性感覚野」、視覚情報を認識する「視覚野」、音声情報を認識する「聴覚野」、においを認識する「嗅覚野」があることがわかっています。
連合野は、思考や言語などの知的な活動を担っている場所で、細かく 5つの場所に分類されていますが、スポーツ脳という意味で特に重要なのは「運動連合野」と呼ばれる場所です。「運動連合野」では、運動の手順をプログラム化する働きが営まれています。そしてその運動プログラムは運動野へと伝えられるのです。
このように、大脳皮質にはさまざまな役割を担う部位があるのですが、運動のメカニズムにおいて特に重要な役割を果たしているのが、「運動野」と「運動連合野」です。視覚や聴覚など、感覚的な情報を受けると、まず運動連合野で運動プログラムが作成されます。
そしてその運動プログラムが連動野に伝達されると、この筋肉をこのように収縮させろ、というような指令を脊髄に発します。
そして脊髄から運動神経を介して、筋肉へと指令が伝達される仕組みです。 また、運動野は脊髄に運動指令を出すのと同時に、小脳へも同じ内容の情報を送っています。
小脳は、運動連合野→運動野→脊髓→運動神経→筋肉という一連の動きをインプットして覚え、その運動がスムーズに行なわれるように実際の動きを修正するという働きを持っているのです。
体を動かすためには、大脳と小脳の密接な連携が欠かすことができません。この連携機能を鍛えていくことが、スポーツ脳を鍛えるということにつながるのです。
3.脳の酸素供給を強化してパフォーマンスを向上
脳が使う消費するエネルギー量が、体全体における消費エネルギーの約20%にもおよびます。脳でそれだけのエネルギーが消費されているということは、エネルギーの発現に不可欠ですが、酸素もかなりの量が消費されているということになります。
事実、脳は人間が呼吸によって体内に取り入れている酸素量の約20%を消費していることがわかっているのですが、人間の脳は全体のうちのわずか5%しか活用されていないといわれており、残りの95%は眠っている状態だとされています。
この活用されている脳の割合を5%から25%に引き上げることはできないかといわれれば、答えは不可能だということになるでしょう。
なぜなら、5%の脳でも全摂取酸素量の約20%も消費しているのに、脳の活用率が5倍にもなれば、体が呼吸によって摂り入れた酸素を100%使うことになってしまうからです。
これではほかの臓器はまったく活動できず、機能が停止してしまうことになります。
要するに、脳は全体の25%を活用することはおろか、たった10%の活用率を目指すことすら無理だということになってしまいます。 昔から、人間の脳は2%余分に活動させることができれば天才になれるといわれています。
脳の使用率を2%アップさせるためには、脳の酸素摂取量が24%必要になるということ。 このプラス4%の酸素量を確保するためには、体内に摂り入れる酸素量を増やしていかなければならないということに結論からするとなってしまいます。
この、体内に酸素を摂り入れる力、いいかえれば、肉体が脳へ酸素を供給する力を高めていくことが、スポーツ脳を鍛えるための最初のステップだといえるでしょう。
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